海外でも広く報道されているため、多くの方がご存知かとは思いますが、3月11日に東北地方でM9.0という日本の歴史上、ほとんど記録のない規模での地震が発生し、関東地方などその他の地域を含む広い範囲で、甚大な被害を及ぼしました。また、その約1ヶ月前にも、ニュージーランドで大きな地震があり、日本人で被害を受けた方がいたということが報道されました。今回の2つの地震で被災された方にお見舞い申し上げるとともに、できるだけ早い段階で安定した生活が確保できる状況が到来するようお祈り申し上げます。
東北関東大震災に関しては、現在、日本だけでなく、多くの国々の政府や企業、NGO・NPOなどが被災者の生活状況改善のために、様々な支援を行っています(もしくは、行う予定であることを表明しています)。これらの支援は当面の生活を安定させる物的なものから、医療や介護に関わる人的なものまで幅広いものになっていますが、私どもの教室でも、微力ではありますが、教育という分野で何らかの支援ができればと考えています。
3月31日時点で、地震が発生して2週間が過ぎましたが、東北関東大震災による被害は、原子力発電所の事故や支援物資が均等に行き渡らないことなどによって拡大を続けており、衣食住が十分に確保された生活を回復することが現段階での最重要課題であることは疑いようがありません。しかし、生活に必要な物資がある程度行き渡った時に大きな問題の一つとして浮上するのが、子供の教育の問題だと思います。例えば、被災地に残った場合、高校などの学びの場が復興するのに時間がかかるという可能性があるでしょうし、現地にある企業が地震による被害を受けたことによって雇用が喪失した結果、十分な学費を確保できない家庭が出てくるということも考えられます。
また、これから地震で被害を受けた地域はもちろんのことですが、日本社会全体も今回の災害、特に原発事故に直面して、これまでの社会制度や生活スタイルなどを見直し、持続性のある社会になることが求められるようになるでしょう。そして、最も切実に現代社会のあり方を見直そうとする人は今回の震災を体験した人の中から出てくるでしょうし、こうした人は人間の営みについて、社会のあり方について、科学技術とのかかわりについてなど、よりよい社会を実現するために十分な知識や洞察を得ていく必要があります。また、自分の考えを論理的で他人に納得してもらえる形にする思考力や、それを言語化していく力も培わねばなりません。
このような観点から、SOLでは、3月18日に被災者支援の一環として、これからを担う中学生や高校生、そしてその保護者の方々に対して、以下のような教育的支援を行うことをご案内しました。被災地やそこから避難した場所に住み、これからの教育に不安を感じられている方はぜひご連絡ください。また、日本以外の地域にお住まいの方には、ご親戚やお知り合いの中で、震災の被害に遭われた方がいれば、下記のような支援を行っていることをお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
2011年3月31日
SOL 前島宏明、余語崇夫