南半球の国の高校を卒業する人の受験について(2) ―帰国生大学入試についてvol. 384―

(2025年12月4日 18:00)

<今回のポイント>
〇ニュージーランドの高校に在籍している人が日本の大学の受験準備をする際に置かれる状況に変化が見られました。
〇これまでと異なり、受験準備に専念できる期間が短くなったので、12月、1月にできるだけ学習を進めることが重要です。


こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、南半球の国の高校に在籍している人を対象とした帰国生大学受験セミナーの「2026年11月卒業生コース」において、12月、1月に月曜日から金曜日までグループ指導を実施する理由として、オーストラリアの高校を卒業するのに1年をかけて段階的に授業を受講したりテストを受けたりすることが求められていることを挙げました。

さて、オーストラリアと並んで高校留学をする場所として選ばれることが多いニュージーランドでは、日本の大学を受験したいと考えている人が置かれる状況に大きな変化が見られました。オーストラリアと同様に、ニュージーランドでも「大学入学資格」と「高校卒業資格」が分かれており、後者を取得するにはNCEA Level3とされる科目で授業で出された課題をこなす、もしくはテストを受けることで60単位を取ることが求められます。

首都圏の有名私立大学の文系学部が実施する帰国生入試や総合型選抜では、どのような科目でどれくらいの単位を取得しているかがあまり重要視されません。そこで、去年までは音楽や美術、日本語といった授業を中心に履修して7月初めまでに60単位を取得し、カナダやイギリス、アメリカといった北半球の高校を卒業した人と同じように、そこから日本に帰国して自分が満足できる大学の入試に合格するまで受験準備に専念する人が多くいました。SOLの生徒の中にはそのままニュージーランドに帰らなかった人も少なくない数います。

今年度の生徒も、学年の初めにこのような形で受験準備をしてもいいかと高校に確認したところ「問題ない」という答えが返ってきたので、例年通りのスケジュールで学習を進めて行くことにしていました。しかし、日本に帰国する7月が近づくにつれて留学生担当の教師の態度が変わり、以前に確かめたことが反故にされただけでなく、term間の休暇が終了したらすぐにニュージーランドに戻るよう言われたケースもありました。

この生徒も、高校との交渉の結果、日本での滞在を休暇期間よりも数週間長くすることが認められ、当初予定していた形で無事に試験日を迎えることができましたが、彼女がニュージーランドに戻った後、高校になぜ方針が変わったのかを訊いたところ、もともと留学生がビザを取得する際には高校での出席日数が全日程の90%を上回っていることが条件となっていると言われたそうです。

これは、理由はよく分かりませんが、これまで単身留学生の出欠状況の報告を高校が適当に行うことを黙認していたビザの発行を担当する政府の部局がその方針を変更したということなのではないかと思われます。もしこの推測が正しいものであるならば、今後、ニュージーランドの高校に留学した人は、前回の記事で取り上げたオーストラリアの高校に在籍している人と同じような状況に置かれるので、上で示したようなスケジュールで受験準備を進めることができないということになります。

そのため、来年度、日本の大学の帰国生入試や総合型選抜の受験において満足できる成果を出したい人は、この12月、1月に受験準備に専念すべきです(単身留学生の人が日本に帰る機会をどれほど楽しみにしているかは理解しているつもりなので、このような提案をするのは心苦しく感じるところもありますが…)。

なお、SOLの帰国生大学受験セミナーの「2026年11月卒業生コース」では、授業スケジュールをそのような形にしています。詳細は以下のリンク先で確認してください。よろしくお願いいたします。

<帰国生大学受験セミナー「2026年11月卒業生コース」概要>
https://www.schoolofliteracy.com/seminar/course2/index.html#c01

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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