現在の教室の状況について(2024年10月1日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 310―

(2024年10月1日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、英語圏の国の高校に留学している人が自己評価や学習意欲の著しい低下といった問題に直面した場合の「プランB」として、日常生活や学校の中で英語を実際に使用する体験の蓄積からその運用のルールについて学んだことを母語である日本語で整理することが重要であるということについて、言語学習に関わる脳科学の観点から考えてみました。母語と第二言語の間の変換を速めるには「自動化」が必要であり、それを支えるのは単語の用法や文法に対する十分な理解です。

さて、英語圏の国で生活する中で、海外渡航時には考えられなかったほど英語の学習に対する意欲が弱まってしまっているケースでは、インターネット上で紹介されるような英語運用能力が順調に伸びている人と違って、自分が使いこなせるものの範囲が広がっていなかったり、TOEFL iBTやIELTSのスコアがある段階から上がらない、もしくは乱高下するのを見たりして、自分には「普通」の人が持っている学習能力がないのではないかと悩んでいることが原因となることがあります。

確かに、英語圏の国で一定期間生活した体験がある人からは、渡航してから3ヶ月の段階から周りの人が何を言っているのかが少しずつ聞き取れるようになったという話を聞くことがあります。また、言語教育学などの文献を読むと、日常生活を問題なく過ごすことができるような言語運用能力と学校の授業のようなアカデミックな場面で求められるものを分ける論者が書いたものの中には、自分の母語とは異なるものについて前者を十分に高めるには2、3年間、後者については5~8年間という期間が必要になると主張するものが見られます。

しかし、これは、学習に必要とされる期間において運用能力が直線的に向上していくと主張するものではありませんし、必要な学習期間についても一般的な傾向を提示しているに過ぎません。実際に英語の習得のプロセスにはより多様な形が見られ、例えば、SOLの帰国生大学受験セミナーに今年度通った人の中には、英語圏の国に滞在した期間が2年間しかないにもかかわらずIELTSのスコアが7.0に到達している人が複数名いた一方で、英語圏の国で生まれたり、10年以上滞在したりしている上に、現地の教育機関だけに通っていたにもかかわらず、6.0から上がらないというケースも見られます。

第二言語の学習がスムーズに進むかどうかには多くのものが関係しており、例えば、聴覚などが鋭敏である、感覚器官を通じて得た情報を整理する能力が高いといった生来的な要因だけでなく、周りの人とのコミュニケーションを取ることに積極的である、話されたことをじっくり聞く姿勢があるといった後天的に身に付けたものも大きな影響を及ぼします。また、第二言語を含めた学習全般にどのような形で臨んでいるか、何かを習得するための方法を体得できているか、そして高校から単身留学した場合には、海外渡航前に英語の学習をどの程度行っており、現地での生活の中で英語運用能力を伸ばすのに必要なものがどの範囲で定着していたのかといった点も重要です。

このように複数の要因が絡むものに関しては多様な形を取るのが当然のことであり、学習がどのような形で進むのかに関しても「普通」という言葉で括れるほど決まったものはありません。自分が「普通」であるのかに不安を抱いているために学習意欲が上がらないというケースではそのようなことを早目に確認するのが必要となりますが、帰国生の学習をサポートした経験が豊富にある人と母語である日本語を用いて英語の運用に関する体験的知識を整理する機会を持つのがそれにつながるのではないかと思います。

SOLの教室では今年度の受験生で入学を目指していた大学の入試に合格する人が出て来たため、オンラインでの個別指導(1コマ60分で授業料6,000円)を実施できる時間が増えてきました。英語に関する体験的知識を整理することで運用能力を伸ばしたいと考えている人にはこのページの最後にあるフォームなどからご連絡をもらえればと思います。よろしくお願いいたします。

なお、現在の教室の様子を写真で確認したい人は、SOLのFacebookやInstagramのページを定期的に更新していますので、そちらを見てもらえればと思います。よろしくお願いいたします。

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