現在の教室の状況について(2024年6月25日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 303―

(2024年6月25日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、高校から英語圏の国に単身留学する人が、海外渡航前の準備としての英語学習に取り組んでいない、もしくはその期間や範囲が限定的である場合に直面する可能性がある問題に関する情報を、それを持っているはずの留学エージェントを通じても得られないことがあるという話をしました。これには、経済的な利益を最大化することを主な目標としている留学エージェントが少なくないことが関係していますが、このような状況において海外で生活しているうちに学習意欲などが低下してしまった人に「自己責任論」的な言葉を投げかけるのは適切とは言えないと思います。

さて、カナダやオーストラリア、ニュージーランドといった英語圏の国に単身留学する人が利用する留学エージェントの中には、HPなどにおいて中学校や高校で不登校になった人に留学を勧めているところがあります。日本とは様々な面で異なり、有名大学への進学など、社会が規定してくる目標を達成するための競争に参加しなくてもよいとされる環境の中であれば、日本の学校のあり方が合わないといった理由で、そこでの学習が継続できなくなってしまった人でも前向きに生きる意欲を持つことができるというのがそのような団体が発信するメッセージの典型的なものになります。

これは自分たちが提供するサービスを多くの人に利用してほしいという経済的な動機に基づいた「売り文句」であることが少なくない一方で、困難な状況に陥った人を何らかの形でサポートしたいという気持ちに基づいたものであるケースも一定程度あるようです。

しかし、不登校になっている人の中には自己肯定感が大きく低下し、周りの人とのコミュニケーションに消極的になっている人がいることに加えて、特に小学校や中学校で学ぶはずだったものが十分に定着していない場合には、ここまでの記事で述べて来た、言語学的な特徴が日本語と大きく異なる英語が主に使用される環境で多くの時間を過ごすことによって生じる問題に直面する可能性が高いことを踏まえると、「環境を変えるのがよい」のだとしても、例えば、国土交通省が推進する「離島留学」(日本国内の離島にある中学校や高校への進学)といった取り組みの方がより効果的なのでないかと考えられます。

これは教育や介護の現場で広く共有されていることでありますが、善意に基づいた活動に参加する中で支援などの対象となる人の実際の姿を見失ってしまい、自分の理想とする像を押し付けてしまうという傾向が人間にはあるようです。そして、身の回りで自分の考えていることの正しさを証明してくれるケースが1つでもあれば、それを拠り所としてそれ以外のものを視野に入れない形で支援活動などを進めてしまう人がいるという話もよく聞きます。このような人間の思考のあり方が、実際には多くの問題が生じる可能性が高いにもかかわらず、不登校になった人へのサポートを考える際に海外への留学を勧めてしまうことにつながっているのではないかと思われます。

そして、このような人々が高校からの留学によって何らかの問題を抱えることになった人に関心を寄せることはあまり期待できませんし、もしそのような話が耳に入ったとしてもそれを他人と共有しようとは考えないはずです。その結果、このブログで取り上げてきたような問題について情報収集しようとすることがより難しくなるため、その影響を受けている人に「自己責任論」的な言葉を投げかけるのは妥当とは言えないということになるのです。

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