こんにちは。SOLの余語です。
前回は、高校から英語圏の国に単身留学をする人が直面する可能性がある問題について、大学での学問研究の中でこのようなトピックが対象となりにくいことや、新聞やテレビのようなマスメディアが子どもの立場から考察を深めることが少ないことなどから、大人にとっても知る機会がほとんどない状況になっているという話をしました。このような状況において、学習意欲の低下のような問題が起きた時に「自己責任論」的な言葉を留学している人に投げかけるのは酷なことだと思われます。
日本の高校から海外の大学に進学する際などにはあまりないことかもしれませんが、高校から英語圏の国に留学する人のほとんどはビザの申請や高校またはホストファミリーの手配といった海外渡航のための事務的な作業、海外で暮らしている間の生活に対するサポートのための仲介サービスを行う団体(以下、「留学エージェント」)と契約します。特に、1年間に英語圏の国に送り出している人の数が多い留学エージェントの話を聞けば、ここまでの記事で取り上げてきたような問題の影響をどのような人が受けやすいのか、その深刻さはいかなるものかといった点に関する情報を手に入れられると考える人もいるかと思います。
確かに、留学エージェントの中には、海外に渡航する以前の段階から面談を複数回行うことで留学を検討している人の性格や学習上の特徴を把握しようと努めたり、英語圏の国で生活を送っている間も定期的に彼ら/彼女らの様子を確認する機会を持ったりする団体もあります。しかし、僕らがこれまでの生徒やその保護者から留学エージェントがどのようなサポートをしてくれたかについての話を聞いたり、実際に職員とコンタクトを取ったりした経験を踏まえると、海外の高校で学んでいる人の生活をしっかりと見守っている人たちは非常に限定的です。
このような状況が生じる理由の一つは、何らかの教育的な理念を実現することではなく、収益を最大化することが運営の主な目的となっている留学エージェントが少なくないことにあります。SOLの教室で帰国生入試や総合型選抜の受験準備をしたり、高校の長期休暇の間にTOEFL iBTやIELTSの対策を行ったりしている人は僕らが信頼を置けると考えている留学エージェント(片手で収まってしまうくらいの数しかありません)に紹介されたという人が多いのですが、年間で2、3名、それ以外の留学エージェントと契約していた人もいます。
HPなどを確認すると、そのような団体はいずれも多くの留学生を抱えているようなのですが、どのようなサポートを海外にいる間に受けていたのかを生徒に訊いてみると、主に海外渡航に関する事務手続きを行ってくれるだけで、英語圏の国に滞在している間に連絡してくることはほとんどなく、あったとしても定型的なメッセージがたまに送られてくるだけだったという答えが返ってきます。また、留学するか否かを検討する際に留学エージェントに面談に行った際には、その時点までの学習の進め方やコミュニケーションに対する積極性などを確認することなく、席に座った途端、進学可能な高校のパンフレットを持って来られ、どこに行くのかに関する選択をするように言われたという話もよく耳にします。
これらはいずれも業務に関わるコストを最小化し、経済的な利潤を最大化する観点に立ってなされていることなのだと考えられますが、このような留学エージェントは留学生が現地でどのように生活を送っているのかについて十分な理解を持っていないのが通常ですし、仮に自分たちがサポートしている人が何らかの問題に直面していることを知っていたとしても、それはその団体の活動にとってネガティブな影響を持つものであるため、将来的に顧客になりそうな人に共有することはありません。
その結果、インターネットで検索しても、高校から単身留学をすることの実態に関する理解を深めることが難しいという状況が生じるため、学習などに消極的な姿勢を示す人に「自己責任論」的な言葉を投げかけることは望ましくないと僕らは考えているのです。
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現在の教室の状況について(2024年6月18日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 302―
(2024年6月18日 16:30)