現在の教室の状況について(2024年6月11日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 301―

(2024年6月11日 16:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、高校から英語圏の国に単身留学した人が日々の授業やTOEFL iBTまたはIELTSといった英語運用能力試験での成績が伸びず、学習に対しても積極的な姿勢を示さなくなった時に、周りの大人から「留学したのは自分の選択なのだから、それに見合った努力をすべき」という「自己責任論」的な言葉を投げかけられることがあるという話をしました。彼ら/彼女らは留学に行くのかを決める時点で法律上物事を決める力が十分にない存在とされる15、16歳ですし、大人の顔色を窺ってしまうことも多いので、そのような評価は不適当であると僕は考えます。

そして、この問題について考える際には、中学校や高校からカナダやアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドといった国々に留学した人がどのような状況に置かれるかについて十分な情報が出回っていないことにも目を向けるべきだと思います。

以前から、この教室の関係者やOBOGには、海外の高校で学ぶ人が日々の生活を送る環境からどのような影響を受けるのかを大学での研究テーマにしようとする人がいますが、彼ら/彼女らは先行研究がほとんどないという問題に直面するようですし、指導教員から「単身留学生のように恵まれている人に関して研究をして何の意味があるのか」といった言葉を投げかけられたという人もいます。この結果、学問研究の領域で、高校から英語圏の国に単身留学するか否かを選択する際の材料になりそうなものを探そうと思ってもなかなか見つけることができない状況が生まれます(ただし、トロント大学名誉教授の中島和子氏がやっているような移民の第二言語運用能力の伸長に関する研究は参考になると思います)。

また、新聞のようなマスメディアにおいても、最近は英語などの早期教育の危険性について研究者が警鐘を鳴らす記事や、よく読むと留学をした人が直面する可能性がある問題に関する言及がある記事(例えば、この記事では、留学経験者が一定の期間でスペイン語が習得できたと述べた後で、自分の考えや感情を過不足なく伝えることができなかった際に感じた精神的な負荷にもふれています)が見られるようになったものの、単身留学生の数が少ないことや、社会が「グローバル化への対応が急務である」というムードに包まれていることもあり、このブログのここまでの記事で取り上げてきたような問題を正面から取り上げるようなものを目にすることはありません。

そもそも、日本のマスメディアは、一般的にリベラル系に分類されるものでも、教育について語る時には社会に対する経済効果やキャリア形成といった観点に立つことに終始しており、子どもの立場から見た問題がほとんど取り上げられないのが現状です。これは、想定している主な読者の層が何らかの経済活動に従事している人であることを考えると仕方がないことなのかもしれません。

以上のような事情から、中学校や高校から単身で英語圏の国に留学をするかを検討する際に、そこで直面する可能性のある問題に関する情報にふれることは大人でも難しいということになります(これまでの生徒の保護者の中にも自分の子供が置かれた状況に驚きを感じたという人が少なくない数います)。そこで判断能力が十分でないとされる子どもに「自己責任論」的な言葉を投げかけるのは酷な話にあるはずで、それよりは「プランB」を考える方がよいということになると思います。

なお、現在の教室の様子を写真で確認したい人は、SOLのFacebookやInstagramのページを定期的に更新していますので、そちらを見てもらえればと思います。よろしくお願いいたします。

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