現在の教室の状況について(2024年6月3日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 300―

(2024年6月3日 19:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、高校から英語圏の国に単身留学をした人が、授業で出された課題でエッセイを書く際などに、添削指導をしてくれる教員から単語や表現の用法、または文法に関する誤りを指摘される中で英語運用に関する理解が深められるような説明を受けられないことが少なくないという話をしました。母語の成り立ちを第二言語として学習している人に説明することは難しいため、このような状況は仕方がないことだと思われますが、どのようなルールで英語が動いているかが十分に分からないが故に精神的な負担を感じる人が多くいるようです。

ここまで、特に海外渡航の準備としての英語学習に取り組んでいない、もしくはその範囲や期間が限定的である場合に、英語圏の国で高校から学び始めた人が直面する問題をいくつか見てきました。それらはいずれも、彼ら/彼女らが周りの人との関係を構築するのに及び腰になってしまったり、第二言語である英語も対象となる日々の学習に消極的な姿勢を見せるようになったりするという事態につながり、これが英語運用能力の伸長の足枷となりますし、自己肯定感も低下させるため、どのような側面においても成長が実感できないという負の連鎖に陥る可能性があります。

このような状況から抜け出すことは多くの時間とエネルギーを要するものだと思われますが、自己肯定感の低下が一定の程度を超えてしまうと、その取り組みを行うこと自体に心理的な障壁を感じるケースが見られるようになります。何もしないまま時間だけが経ってしまう状況に対して、周りの大人が子どもに何らかの心理的なトラブルが生じているのを察知しそれに合った対応を取ることができたケースがある一方で、「海外に留学することを自分で選択したのだから、現在直面している問題を克服するために努力をすべき」という「自己責任論」的な叱咤を受けたという人も少なくありません。

第二言語が主に使われる環境で生活するのが苦しいと感じている人に「自己責任論」的な言葉を投げかけるのは、以前の記事で紹介した中学受験に向けた準備の中で学習意欲を喪失してしまったケースと同様に適切なことではないと僕は考えます。子どもが年齢を重ねるにしたがって精神的に成長をするのは多くの場合事実ではありますが、高校から単身留学する人は、海外渡航時に15,16歳であることが通常で、十分に合理的な判断ができないため、一人では法律的な行為を完結することができない「未成年者」として法律上扱われ、選挙においても「有権者」にはなれない年齢層に入ります。

また、ここ数回の記事で紹介してきた彼ら/彼女らのような人が直面する可能性のある問題についての理解を僕らが深めることができたのは、これまでにSOLの教室で学んだ人が自分たちの体験談を様々な場面で共有してくれたからですが、教室に通い始めてすぐに、彼ら/彼女らが海外での生活の中で感じた精神的な負荷に関する話をすることはなく(この段階では日々の生活が充実したものであることをアピールする人が多いです)、僕らがこれまで多くの帰国生の学習のサポートをしてきたことを知ったり、周りの大人とは異なる「近所のオジサン」的な人であることを認識したりするうちに徐々に打ち明けるようになるのが通常です。

これが、18、19歳の人でも大人の顔色を見ながらコミュニケーションを取ることの表れだと考えられるのであれば、日本の中学校を卒業したばかりの人が周りの意向に沿うように何らかの選択を行うことがあってもおかしくないと思います。このようなことを踏まえて、海外での生活で精神的なトラブルを抱えてしまった時に、身近にいる大人がすべきなのは、「自己責任論」的な言葉を投げかけることではなく、「プランB」を検討することであると考えているのです。

なお、現在の教室の様子を写真で確認したい人は、SOLのFacebookやInstagramのページを定期的に更新していますので、そちらを見てもらえればと思います。よろしくお願いいたします。

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