現在の教室の状況について(2024年5月21日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 298―

(2024年5月21日 19:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、高校から英語圏の国に単身留学した人が、海外渡航前の準備としての英語学習に取り組んでいない、もしくはその期間や範囲が限定的なものであった場合に、英語で書かれた文章を文法的な観点で分析するのが難しくなるため、高校の授業で何が扱われているのかがよく分からないという問題に直面する可能性があるという話をしました。英語を実際に使用した体験だけに基づいて文法に対する理解を深めるのは時間がかかりますし、誤りが含まれるようになることも考えられるため、自分が何を学んでいるのか分からない期間は長く続くことがあります。

このような状況に陥ったとしても、高校の日々の授業で出される課題の量が減ることがないのが通常ですが、そこでよく見られる対応が、僕らが「釣り読み」と呼んでいる形で文章を処理するというものです。この読み方の特徴は、文の構造や一つひとつの単語の間の関係などを文法的に考えるのではなく、自分が意味や用法を知っている単語を文中から取り出してきて、それらを出てきた順番に従って組み合わせてみる、もしくは単語や表現から推測されるものと自分の頭の中にある知識や理屈をすり合わせることによって文全体の内容を把握しようとすることにあります。

「釣り読み」が定着してしまった人は、例えば、次の文(Cambridge University PressのIELTS ACADEMIC 15の中にある”Should we try to bring extinct species back to life?”という文章から抜粋したものです)を見た時に、

By pinpointing which genetic traits made it possible for mammoths to survive the icy climate of the tundra, the project’s goal is to return mammoths, or a mammoth-like species, to the area.

by pinpointingで始まる部分がどこまで続いているのか、whichがどのような形で使われているか、itが何を指しているか(文法の学習を一定程度した人であればfor mammoths to survive the icy climate of the tundraであることが分かると思います)を考えることはありません。そして、(あまりないことではありますが)この文の中にある単語の意味のほとんどが分かっている人でも、「遺伝的な特徴を特定することで、それ(itをこの文の前にあるもの)がマンモスにとって可能になり、ツンドラの寒冷な気候で生き残るこのプロジェクトの目標が、マンモスやそれに似た種がこの地域に戻ることになる」といった読み方をするようになります。

「釣り読み」を一度始めてしまうと、学習時にかかる精神的な負荷が小さいものになるために抜け出すのが難しくなりますが(この教室で個別指導を受けている人を見る限り、体系的な学習を始めてから早い人で3、4ヶ月、遅い人だと1年以上かかります)、すでに様々なテーマに日本語でふれていない場合に、目の前にある文章の理解が正しいものになる可能性は低いものになります。また、それによって、年齢相応な文章を読み解いていくのに必要な知識の蓄積が十分なものにならなかったり、文章全体の構造を踏まえて内容の流れを把握することができなくなってしまったりするという状況が生じてしまいます。

その結果、高校での日々の学習において自分が何に取り組んでいるかが(少なくとも十分には)理解できないという状態が続くことになり(TOEFL iBTやIELTSのスコアも一定のところから伸びなくなります)、それが最終的に学習者により大きな精神的負荷をかけることになるのです。この点を踏まえても、高校から英語圏の国に単身留学する際には「プランB」を考えておくべきということになるのだと思います。

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