既卒生/2024年5月・6月卒業生コースについて(8) ―SOLからのお知らせvol.341―

(2024年3月28日 19:15)

こんにちは。SOLからのお知らせです。
前回は、SOLの教室では「生徒が教師にアクセスしやすい環境を作ること」を目標の一つとしており、それを反映する形で教師と生徒が授業外の時間を過ごすことができる共有スペースを施設の中心としたことで気軽に質問ができると感じている人が多いという話をしました。最近は、自分が書こうとしていることが一定の評価を受けるものであるかを事前に確認した上でないと日本語小論文の答案の作成を進めることができないという人がおり、僕らといつでも話せることが今まで以上に大きな意味を持つようになったのではないかと考えています。

さて、帰国生大学受験セミナーの「既卒生/2024年5月・6月卒業生コース」のグループ指導が行われている時期には、昼ご飯や晩ご飯の時間を中心に、授業の内容に関する質問など以外のトピックで、共有スペースにおける僕らと生徒の間のコミュニケーションが活発なものになります。そこで取り上げられるものは、日々の生活で体験した他愛のない出来事から、最近見聞きした動画や音楽の感想、生徒が気になっている社会的な問題や事象まで様々なものがありますし、その雰囲気も非常に軽いものになっている時もあれば、皆が真剣に会話に参加している時もある印象です。

僕らと生徒がこのような時間を持つことは、様々な事柄に対する彼ら/彼女らの視野を広げることにつながるのではないかと考えています。大学を帰国生入試や総合型選抜で受験する人は18、19歳の年齢層であるため、蓄積できる社会的な体験などに限界がありますし、海外で高校生活を過ごした場合には、そこで主に使われる言語が自分の母語とは異なることから、年齢相応の知的な情報の吸収が難しくなることがあります。また、インターネット上のSNSには、自分がこれまでに接してきたものと内容が同じ方向性のコンテンツが優先的に表示されるという特徴があり、これによって「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」といった現象が生じていると言われています。

このような状況で生じる、僕らが望ましくないと考えている傾向が、少なくとも帰国生入試や総合型選抜の日本語小論文試験において高い評価を得ることが難しいと思われる考え方に「はまり込んでいる」人が増えていることです。例えば、現在、X(旧Twitter)のようなSNS上では、LGBTQや障害者、女性、高齢者、民族マイノリティーといった日本社会において差別を受けている人々の訴えを、「わがままである」もしくは「自己責任で対応すべき」といった形で切り捨てるような投稿が多く見られます。

それを読んで同じような考え方を内面化してしまう若い人も少なくないようですが、以前の記事でも述べた通り、ほぼ全ての学問は、様々なバックグランドを持つ人々が人間としての尊厳が確保された状況でどのように共存していくかに関する知見を体系化したものです。それを踏まえると、現在インターネット上で注目されている思考のあり方に沿った形で日本語小論文試験の答案を作成することにはネガティブな評価を受ける危険性があります。

この点、SOLの帰国生大学受験セミナーで受験準備をしている人のほとんどは、社会問題に対する知識が不足していたり、それに対する異なる捉え方にふれたことがなかったりすることで、SNS上の情報を信頼してしまうようです。また、特に日本社会では、社会的な差別構造のような状況に置かれている当事者がどのような問題に直面しているかを理解するための機会も十分に確保されていないということも関係していると思われます。

これは、僕らと生徒が授業外で様々なトピックに関してコミュニケーションを多く取ることで対応できるものであり、この文脈でも教室内の共有スペースが重要だと考えています。

「既卒生/2024年5月・6月卒業生コース」の概要は以下のウェブページにおいて確認できます。

【概要】
https://www.schoolofliteracy.com/seminar/course1/index.html#c01

【帰国生大学受験セミナーの授業の特徴や内容などについて】
https://www.schoolofliteracy.com/seminar/info/index.html#c01

それでは、帰国生大学受験セミナーの授業の日程や内容、授業料についてご質問などがある方は以下のフォームよりご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comまでメールにてお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/

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