こんにちは。SOLの余語です。
5月1日の記事では、高校から英語圏の国や地域に留学する人をサポートする留学エージェントが公表している情報が英語運用能力を伸ばしたり海外での学校生活に溶け込んだりといったことが順調に進んだケースばかりに偏ったものになっているために自分への評価が低下している人が見られると述べました。少なくとも保護者が満足できるようなものという意味で充実した留学生活を送ることができた人はそれほど多くないということに彼ら/彼女らの周りの人が理解を持つべきだと思います。
ここまで数回の記事で、現在の日本社会で自己評価(self-esteem)が低い人が多く見られる理由について、彼ら/彼女らに対する周りの人からの評価のあり方といった社会構造に関わるものだけでなく、高校から単身留学する人のように渡航先で主に用いられる言語の運用能力を伸ばすことに困難を感じている人の学習を長年サポートする中で得たものを基にした我々の考えも紹介しました。このところ、SOLの教室でも、学力やコミュニケーションに関わる能力、これまでに蓄積した経験などの点で他の人に劣ったところがないものの自己評価が厳しい人が増えており、少なくとも教室に通い始めた時点では彼ら/彼女らが周りの人と会話をするのに及び腰になるという光景がよく見られるようになっています。
このような傾向に拍車をかけていると僕が考えているのが、全ての参加者が自分から様々なことを発信するコミュニケーションのあり方が一般的に望ましいとされるようになったことです。日本では大手の企業の要望が教育制度の方向性に強い影響力を持っていることがよく指摘されますが、情報化やグローバル化によって経済的な国際競争が激しいものになったことを受けて企業の経営基盤が弱いものになる中で、以前に見られたような充実した社員教育のためのプログラムを維持できなくなったところが増えており、大学を卒業して入社してくる人に「即戦力」であることや、物事を自分なりに考えた結果を言語などで表現できる力を持っていることが求められていると言われますが、それを受けて大学などのカリキュラムにおいてもこのような力を伸ばすことを目的とした授業が増えています。
また、同じような事情から大手の企業でも中途採用で一定の能力や実績がある人を入れることが増えたため、社内の人間関係が安定しないものになったところがあると聞いており、自分が転職したり同僚としてそのような人を迎えたりすることで長い期間を一緒に過ごす人の数が減ったことによって、これまでの生活で体験したことなどを自分で発信できる人の評価が高くなったとも考えられます。この点、自己評価の低い人たちは、自分には他人が興味深いと感じるというような話の素材がない、もしくはもしそのようなものがあるという認識があったとしてもそれを相手に伝えられる力がないと考えて、周りの人とのコミュニケーションに消極的になってしまうので、上で述べたような変化の中でより不利な立場に立たされることになってしまい、自分の生活を支えてくれる相互扶助的なコミュニティーを形成する機会を逃してしまう可能性が高まるのです。
さて、東京23区やその近郊では、低年齢層の人を中心に、新型コロナウィルスやヘルパンギーナなどに感染する人が増えていると言われます。SOLの教室でもここまで夏風邪に罹った人が毎週1人出ていますが、彼ら/彼女らには症状が治まるまで自宅に待機し、授業を動画にしたものを見るという形で授業に参加するように案内しています。その結果、教室内での感染拡大を防げていますので、このような取り組みを今後も続けていく予定です。
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現在の教室の状況について(2023年7月24日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 254―
(2023年7月24日 19:30)