こんにちは。SOLの余語です。
前回は、日本のように今でも「男性稼ぎ手役割意識」が強く見られる社会では、男の子が成長していく中で、彼が学校でのものを含めた日常生活をどのような方向性で送っていくかについて保護者や周りの大人が様々な形で介入することが多いと以前から指摘されてきたという話をしました。これがコミュニケーションのあり方にまで及ぶようになると、女子との間の積極性の違いにつながるのではないかと僕は考えています。
これは以前の記事でも述べたことだと思いますが、SOLの教室で周りの人とのコミュニケーションに対して消極的な姿勢を示す男子生徒(少なくとも授業を受け始めた段階ではほとんどの人がそんな感じです)の中には、「本当は他の人との関係を深めていきたいと考えているんだけど、実際には難しい」という悩みを口にする人が少なくありません。彼らからどうすればいいのかと相談された際に「気軽に話しかけてみればいいのでは」という提案をすると、ほとんどの場合、それに対して「面白くない人間だと思われるのが嫌なので、自分から話しかけるのは躊躇してしまう」という答えが返ってきます。
彼らがこのような考えを持つ背景には、中学受験を経験している人が首都圏を中心に増加していることに代表されるように、多くの人が以前よりも早い段階から厳しい競争に巻き込まれるようになったことや、日本の教育機関においてスクールカースト的な意識が浸透していることなどがあると思われます。ただし、周りの人とのコミュニケーションのあり方に関して悩みを抱える人には男の子が多いことや、それが若い世代に限定されるものではないこと(ある地方自治体の男女共同参画に関する調査によれば、中年やそれ以上の年齢の男性で不安に感じていることを他人に打ち明けることができないという問題に直面する人が多くいるそうです)を踏まえると、他の要因も考えなければならないはずです。
この点、日本で今でも「男性稼ぎ手役割意識」が根強く残っていることは、家庭や学校の中で生活していく中で、それを反映した大人の言動や振る舞いに子どもが接することにつながります(「あなたは男の子なんだから、しっかりとしないと将来ちゃんとした生活を送れないよ」と保護者に𠮟責されるというのが典型的な形でしょう)。そして、そのような価値観が定着すると、日々の生活において何らかの選択をしなければならない時にできるだけ将来に悪影響を及ぼす可能性がないと思われる方向性で物事を考える「安全志向」に陥ってしまうことがあったとしても不思議はないですし、その結果、自分の属するコミュニティーの中での評価を下げるようなことを避けようとするがあまり、様々な人とコミュニケーションを取る体験が十分に蓄積できず、ここ数回の記事で述べたような消極的な姿勢を持つようになると考えられるのではないかと思います。
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現在の教室の状況について(2023年5月29日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 246―
(2023年5月29日 19:00)