社会的な活動への参加について (3) ―帰国生大学入試についてvol. 365―

(2023年5月19日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試の小論文試験の対策をする際には、自分が受験する学部・学科が専門領域としている学問に関係するものを学ぶ意欲をできるだけ高い水準で維持する必要があるという話をしました。競争が激しい首都圏の有名私立大学のものについてはある年度に出題されるトピックがどのようなものになるかという絞り込みを行うことが難しく、理解を深めるべきものが多くあるというのがその理由です。

「帰国生入試やAO入試は一般入試よりも受験準備が楽である」というイメージを持っている人は今でも少なくないようですが、少なくとも首都圏の有名私立大学などで実施されているものに関しては、どのような負担が受験生にかかるのかといった点に違いがあるだけで、その重さには変わりがないと僕らは考えています。例えば、前回も述べた通り、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験の成績はほとんどの入試において合否を判断する際の主な材料の一つとなります。これを引き上げていくには、語彙や表現に関する知識を多く習得し、文法に対する理解を深めていくことに加えて、それらを実際に活用する体験をreadingやlistening、writing、speakingといった言語運用の全ての側面について正しい形で十分に蓄積する必要があります。

それを踏まえると、海外の教育機関で学ぶ期間が3、4年となるのが通常である単身留学生がTOEFL iBTやIELTSのスコアアップを目指す際に困難に直面することは当然であるように思われますし、保護者の仕事の都合で長い期間英語圏の国や地域で生活している人の中にも、英語とどのような形で接してきたかによって、帰国生入試やAO入試で満足できる結果を残すのに必要な水準までスコアを伸ばすことができない人がいても不思議はありません。これまでの生徒の様子を見ていると、TOEFL iBTであれば80前後、IELTSであれば6.0までであれば多くの人が到達するようですが、ここから次のステップに進むには問題演習で用いられた教材についてしっかりと復習を行うといったように綿密な形で学習を進めて行くことが必要になるのが通常で、人によってはそれがかなり長い期間に及ぶということがあります。

また、帰国生入試やAO入試には一般入試との間には、面接試験があることに加えて、そこで試験官が質問を考えるための資料の一つとして志望理由書の提出が出願手続き時に求められる(大学や学部・学科によっては文章の形にしなければならない書類がそれ以外にもあるものも見られます)という違いもあります。面接試験の内容が合否の判定で大きな役割を果たす入試の数は限定的ですが、そうでない場合でも、ある学部・学科で学びたい理由がその専門領域である学問の研究者にとって納得できるものでない、もしくは取り上げようとしているテーマがカリキュラムで扱われていないといったことがあれば否定的な評価を受ける(それは、例えば合否を決める水準の辺りに複数の受験生がいる時に不合格になる可能性が高まることにつながります)ことが考えられます。

このような問題を回避するには、自分が大学で学ぼうとしている学問に関連した本をできるだけ多く読み、それがどのような観点からどのような手法を用いて現実に起きていることを分析するのかについて一定程度理解しなければなりませんし、大学のパンフレットやシラバスを見て受験する大学にどのような授業があるのかを確認する必要があります。これらのことにしっかりと取り組んでいくためにも、少なくとも受験に向けた準備を行う期間には学習意欲をできるだけ高い水準で維持していくことが望ましいということになるのです。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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