現在の教室の状況について(2023年5月1日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 243―

(2023年5月1日 19:00)

こんにちは。SOLの余語です。
3月27日の記事では、高校などから英語圏の国や地域に留学した人の中には、現地の人としっかりとした人間関係を築くことにこだわりを見せる人が多く、英語運用能力が順調に伸びないことなどが理由でそれを実現できなかった時に自分への評価が厳しいものになる可能性があると述べました。これには、海外の高校での生活について一般的に抱かれるイメージだけでなく、彼ら/彼女らが日本の学校にいる間に「スクールカースト」的な感覚を内面化していることが関係しているのではないかと考えています。

他の記事で、この教室では教師と生徒がともに時間を過ごす共有スペースが中心になっており、お昼時などの授業外の時間に様々なトピックでコミュニケーションが取る姿が見られますという話をしたかと思います。その中で、単身留学に行った人たちから自分が利用した留学エージェントにどのようなサポートを受けてきたかということを聞くことがありますし、これまでに耳にした覚えがない留学エージェントの名前が出てきた時にはホームページでどのような方針で組織が運営されているか、自分たちがサポートをしている人の状況をどれくらい把握できているかといった点を確認するようにしています。

そこでいつも気になるのが、英語圏の国や地域に高校から留学する人がどのように英語運用能力を伸ばし海外での学校生活に溶け込んでいくかということに関して、全てのプロセスが順調に進んでいった人だけが紹介されることが多いことです(そこで取り上げられた人の話を実際に聞いてみると、最近よく使われる表現で言えば「盛っている」ことも少なくないようです)。また、海外に渡航する前に、もしくは高校の授業外でどれくらい英語の学習に取り組んできたか、周りの人とのコミュニケーションに関してどれくらい積極的な姿勢を元々持っていたかという留学生活を充実したものにするための条件に関する説明がないことも少なくなく、それらの情報だけにふれていると海外での生活で問題に直面するケースは例外的なものだという印象を持つようになるのではないかと思います。

しかし、実際には、英語圏の国や地域の高校で学んでいても、全ての人が例えばIELTSで7.0というスコアを取れるようになる訳ではありませんし(むしろ統計的には少数派です)、3月27日の記事でも述べた通り、英語圏のネイティブとしっかりとした人間関係を形成できるということもありません。このような状況では、特に周りに日本からの留学生がいない場合、「自分だけがちゃんとした留学生活を送れていない」というように考え、自分への評価を下げてしまうというケースが見られるようになったとしても何も不思議なことはないかと思います。また、TOEFL iBTやIELTSのスコアや高校の成績が上で述べたようなホームページで述べられているような形で伸びていかない人は、(特に自分自身に留学した経験がなく、日本語を母語とする人が英語圏の国や地域でどのような問題に直面することになるのかについての情報を十分に持っていない)保護者から強い叱責を受けるというのも珍しい話ではありません。多くの留学エージェントが公表する情報が偏ったものになっていることが、単身留学をした人の中に自己評価が低い人を生み出す結果になっているのです。

さて、東京23区やその近郊では新型コロナウィルスの新たな変異株の流行が始まっており、1日の新規感染者の数も徐々に増える傾向にあります。来週から感染症法上の位置付けが5塁に変更されるのに伴ってデータの公表がこれまでのように行われなくなるようなので、正しい対策がなされるのか不安になりますが、僕らができることは生徒の注意を喚起することですので、それだけはしっかりと行っていきたいと思います。

それでは、帰国生の大学受験やSOLの帰国生大学受験セミナーなどに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/

トップへ戻る