関西圏の私立大学の帰国生入試などについて ―帰国生大学入試についてvol. 361―

(2023年4月7日 19:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、首都圏の有名女子大学の帰国生入試や総合型選抜を取り上げました。以前から帰国生入試を実施している聖心女子大学や津田塾大学は、社会的に同様の評価を受けている他の大学のものよりも入試における競争が緩やかなものになっていますが、それは学べる内容に偏りが見られるといった要因によるもので、学習環境としては充実したものを持っています。英語運用能力試験の成績といった点で海外に滞在したことの十分な成果を出すことができなかったと思う人は受験を検討してもいいのではないかと思います。

さて、ここまでの記事では首都圏にある私立大学の帰国生入試やAO入試について説明してきましたが、それはSOLの教室が東京23区内にあり、生徒のほとんどがその周辺にある大学を受験している、もしくは帰国生の間では特に都内にキャンパスがある大学が人気があるといった状況を受けたものであり、もちろんそれ以外の地域にある大学が帰国生入試などを実施していないという訳ではありません。実際に、今年度の生徒の中には関西学院大学総合政策学部の帰国生徒入試を受験した人がいますし、これまでには同志社大学スポーツ健康科学部を海外就学経験者(帰国生)入試で、立命館大学の文学部などをAO選抜入試で受けるための準備をしていた人もいます。

海外の教育機関で学んだ経験を持つ人が出願資格を得られる関西圏の私立大学の特別入試は、一般的に、出願手続き時に作成しなければならない書類が多くあり、また志望理由書などの字数も帰国生入試やAO入試の中で多い部類に入ります。その一方で、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験の成績に関して合格に必要なものの水準は高いものとは言えませんし(例えば、関西学院大学であればIELTSのスコアが5.5であっても合格可能性があります)、小論文試験で出題される問題も首都圏で人気のある大学に比べると複雑なものではありません。その結果、出願手続き時に提出する書類が大学入学後の学習生活を充実したものにできる可能性を教員が感じられる内容になっていれば、英語運用能力試験の成績や小論文試験に対応する力に多少の問題がある場合でも合格が期待できるものになっています。

しかし、これはこれらの大学で学ぶことのできるものの水準が低いことを必ずしも意味しているのではありません。例えば、僕が大学生の頃に学んでいた憲法学の研究者の中には東京大学を卒業した人と京都大学を卒業した人のグループがあり、前者は首都圏の大学に、後者は関西圏の大学に就職している人が多かった記憶があります。今でも主要な学問においてこのような「縄張り」があるようですので、関西圏の大学で学ぶことに心理的な抵抗を感じない人は進学先の候補に含めることに問題はないですし、特に海外に滞在したことの成果を英語運用能力試験の成績などという形で示すことができない場合には受験を検討してもいいのではないかと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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