現在の教室の状況について(2023年3月27日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 237―

(2023年3月27日 20:00)

こんにちは。SOLの余語です。
3月13日の記事では、高校から英語圏の国や地域に単身留学した人のように、14、15歳という年齢から海外の教育機関で学び始めた場合、自分の価値観などを周りに共有できる水準まで英語運用能力が伸びるのには時間がかかる上に、人間関係の中心が学校のような家庭の外で出会う人に移っているため、自分の能力や適性がどのようなものであるか、自分が考えるよい生活の送り方が社会で許容されるのかといった点を確認することが難しくなると述べました。この結果、自分に対する評価が厳しいものになるということが起きる可能性があります。

SOLの帰国生大学受験セミナーでは、海外の高校で最終学年に入る前の段階からTOEFL iBTやIELTSの対策や日本運用能力の維持伸長などを目的として、zoomを用いたオンラインでの個別指導を受けている人がいます。その際、日々の学校生活の様子を聞くことが多いのですが、英語圏の国や地域に滞在している期間がまだ2、3年で、英語で学校の授業に参加したり周りの人に自分が考えていることを伝えたりすることに困難を抱えている段階にいる人からよく聞く悩みが「自分と同じように留学してきた人とはある程度仲良くなることができるものの、英語圏のネイティブに話しかける勇気が出ず、彼ら/彼女らとの人間関係が築くことができない」というものです。

英語運用能力が順調に伸びている人は最終学年に入ると、それまでにできた友人と英語で年齢相応な内容を伴ったコミュニケーションができるだけでなく、英語圏のネイティブとの人間関係も徐々に広がっていく一方で、日本に帰国するまでの間ずっと現地の人と友達になるのが難しいと感じ続けた人も今までの生徒を見る限り少なくないと思われます。彼ら/彼女らが渡航した先に住むネイティブと一定以上の関係を築けたかということを重視するのには、英語圏の国や地域で生活することに関する一般的なイメージが関係しているのでしょうが、それに合わせて日本の学校にいる間にいわゆる「スクールカースト」的な感覚を内面化していることも背景にあるのではないかと僕は考えています。

日本の教育機関における生徒間の関係をこのような図式で捉えることは、マスメディアの報道番組で紹介されることがありますし、これを主題にした新書なども出版されていますので、馴染みのある人も多いのではないかと思いますが、教育社会学といった分野では、日本の中学校や高校において、全ての生徒が学力や運動能力のように社会的に評価されるものに加えて、面白い話をして場を沸かせることができるかといった指標で序列化され、生徒もそのヒエラルキーに従った形で行動すると言われており、このような現象が「スクールカースト」と呼ばれています。これが意識に定着した人が海外の高校などに行くと、そこで学力が高いのは英語圏のネイティブということが多いでしょうし、スポーツや社会的な活動に積極的に取り組んでいるのも彼ら/彼女らになるでしょう。また、年齢相応の気の利いた話を多くの人の前でするには高い英語運用能力が必要になるはずで、このようなことを考えても彼ら/彼女らが「スクールカースト」の頂点に立っているように単身で留学した人の目には映ったとしても不思議はありません。

しかし、上でも述べた通り、高校から英語圏の教育機関で学び始めた人の全てが英語圏のネイティブとしっかりとした人間関係を形成できる訳ではなく、それができなかった人は数多くいます。そして、海外における生活で望ましいと考えていたことが実現できなかった人の中で自分への評価が厳しいものになっていくという事態が生じる可能性があるのです。

さて、このところ、東京23区やその近郊では新型コロナウィルスの感染拡大が落ち着いてきたような印象がありましたが、先週から新の感染が判明した人の数が増加し始めたようですし、海外から新たな変異株が入って来たという話も聞きます。僕の周りで感染した人に聞くと、若くても激しい症状が出ることがよくあるようですので、生徒に予防を心がけるように伝えています。

それでは、帰国生の大学受験やSOLの帰国生大学受験セミナーなどに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

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