こんにちは。SOLの余語です。
前回は、立教大学の全ての学部で実施される自由選抜入試の概要をお知らせしました。この入試は他の大学の「総合型選抜」や「自己推薦入試」に当たるものですが、合否の判定に関係するものは高校や英語運用能力試験の成績や出願手続き時に提出した書類、筆記試験(多くの学部では小論文試験ですが、外国語や政治・経済に関わる問題を出題するところもあります)の出来など、学部・学科・専修によって様々です。自分が受験するところでは何が重視されるかを入試要項などで確認した上で受験に向けた準備を進めていきましょう。
さて、この大学には社会学部や異文化コミュニケーション学部、法学部国際ビジネス法学科に英語を主な使用言語とするプログラムがあり、それらに合わせてグローバル社会におけるリーダーシップ(立教大学はこの言葉が好きなようです)を身に付けるためのコースとされているGLAP(Global Liberal Arts Program)で学ぶ人を選抜するための国際コース選抜入試が実施されています。このようなプログラムは経済成長の著しい東南アジアや東アジアを中心に様々な国で展開されているものであり、経済的な競争力や国際社会における地位が低下している日本において学生の知的好奇心を満たすカリキュラムを作ることができるかという点に大きな疑問があることは以前の記事でも述べたことがあると思います。
立教大学のパンフレットを見ても、3つの学部の国際コースで何が行われているかはほとんど説明されていないので、実態はよく分かりません。しかし、以前にSOLの帰国生大学受験セミナーの生徒が法学部に問い合わせたところ、英語を母語とする教員が2、3名おり、彼らから企業間で交わされる契約書を英語でどのように作成するかが学べるという答えが返って来たそうです。それを聞いて、学習の対象の範囲がこのように狭いものであることは問題ではないかと思ったものですが、その懸念を裏付けるように現在は日本語での授業も受講できるという形でコースの内容に変更があったとパンフレットで説明されています。
また、GLAPのホームページなどを確認すると、1学年の学生数が一般的な私立大学の学部・学科に比べるととても少なく、創設された頃の法政大学のグローバル教養学部(GIS)と同じように教員と充実したコミュニケーションが取れる体制になっているように見える一方で、2年次の秋から海外に留学するまでは英語を主な使用言語として大学で学ぶための基礎的な素養を身に付けるのに時間が費やされ、専門的な学習を行うのは3年次の秋からになるとされています。日本では大学3年の後半を就職活動に費やすことになる人が多いことを考えると、このようなカリキュラムのあり方では大学生活に期待される専門的な学びを行うことは難しいと言えるでしょう。
ここまで述べたように立教大学の国際コースには様々な問題があるように思われますが、それでも1年間海外の大学に留学することなどに魅力を感じる人がいるかもしれません。このコースの入試は出願手続きやその期間、合否の判定において前回紹介した自由選抜入試とほとんど同じです。第2次選考の方法については、社会学部はテーマだけが与えられる小論文試験、GLAPは英文を読んでその内容に関するエッセイなどを作成する試験というように学部によって異なりますので、それぞれの特徴に合わせた形で準備を進めるようにしましょう。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
立教大学の国際コース選抜入試について ―帰国生大学入試についてvol. 359―
(2023年3月10日 19:30)