こんにちは。SOLの余語です。
前回は、現代の日本社会において自己評価(self-esteem)が低く新しいことに挑戦する意欲が弱い若者が他の先進国よりも多く見られることに、中学受験やその準備に代表されるような厳しい競争に早い段階から巻き込まれるようになっただけでなく、成績が上がらない時などに保護者に強く叱責されるといった形で家庭内でも否定的な評価を受けるようになったことが関係しているのではないかと述べました。これは社会構造的な問題でもあるので仕方がないとも言えますが、若い人が将来安定した生活をできるかに関わってくるものであることにより注意を払うべきだと思います。
SOLの教室で学んでいる人の中では、カナダやアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドといった英語圏の国や地域に中学校を卒業した段階で単身留学をした人が増えています。そして、彼ら/彼女らからよく聞くのが「海外に渡航してから(少なくとも2、3年の間は)周りの人と年齢相応な内容が伴ったコミュニケーションを取ることができる水準まで英語運用能力を高めることができず、広い範囲で人間関係を形成することが難しかった」というものです。極端な場合、渡航した先のネイティブだけでなく、他のアジア諸国から同じように留学していた人との交流も諦めてしまい、同じ地区にいる日本人とばかり一緒にいたり、LINEやInstagram、Youtubeといったサービスを用いて日本にいた時と同じような情報にふれたりすることで時間を過ごしてしまうケースも見られます。
このような状況に陥るのは彼ら/彼女らの努力が不足していると評価する人もいるのでしょうが、英語圏の国や地域に居住している母語が日本語である人の英語の習得に関する研究では、母語の運用能力などに問題がない人が学校の授業に一定の程度参加できる水準まで英語運用能力を伸ばすには最低で2年かかるとされており、海外に渡航する前の学習状況やコミュニケーションに対する姿勢などが望ましいものではない場合には、それ以上の期間が必要になります。また、生活していく中で直面する様々な問題に関して自分の考えやある時点で抱いた感情といったものを、日本語を用いた場合と同様のきめ細やかさで周りの人に伝え共感を得るようになるためには、より高い英語運用能力が必要で、この点に関しては英語圏のネイティブと同等になるのは非常に難しいとする学者もいます。
SOLでTOEFL iBTやIELTSの対策を行っていて、留学して2年経った時点でIELTSのスコアが7.0に到達するというように非常に速いペースで英語運用能力が高まっている人でも、自分が在籍している高校にいる現地の生徒と自信を持ってコミュニケーションが取れるという感覚が得られるのは最終学年に入ってから(つまり、海外に渡航して2年が経った時点ということです)だと場合が多いですし、この時期から自分と同じように留学をしてきた英語や日本語以外の言語を母語とする人とのコミュニケーションの内容も年齢相応なものになってくるという話もよく聞きます。ということは、彼ら/彼女らのように、高校から英語圏の教育機関で学んでいる人は、短い場合でも2年くらいの期間はなかなか自分の考えや感情を共有してもらうことができないと感じていると言えると思うのですが、それが自己評価が低い状態につながることがあるのです。
さて、東京23区やその近郊では、新型コロナウィルスの感染拡大が続いており、全国規模で見ると一日当たりの死者数がこれまでにない水準になっています。これから流行する可能性がある変異株は強い感染力を持つだけでなく、免疫回避能力も高いとされているため、今後どのような状況になるのかについて積極的に情報を集めなければなりませんし、今教室にいる生徒の間で感染者が出ないように努めなければいけないと考えています。
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現在の教室の状況について(2023年1月16日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 226―
(2023年1月16日 19:00)