こんにちは。SOLの余語です。
前回は、慶應義塾大学法学部が実施しているFIT入試の概要を紹介しました。この学部のカリキュラムは以前と変わらず学生に寄り添う姿勢が感じられるものではありませんし、特に政治学科は志望理由を「簡単に卒業できるから」としている人が少なくないため、中央大学の法学部などと比べるとお勧めとは言い難いのですが、全国から集まる優秀な学生と交流できるのは確かです。FIT入試については、第1次選考、第2次選考とも注意すべき点があるので、関心がある人にとって前回の記事が参考になればいいなと思います。
さて、これまでの生徒を見る限り、海外の教育機関に在籍した経験のある人には、東京の中心に近い場所にキャンパスを構えている大学を好む傾向があるようなのですが。国際基督教大学(ICU)はその例外です。この大学は日本の大学では数少ない本格的なリベラルアーツのカリキュラムを採用しているところであり、知的な好奇心の向かう先が複数ある人や学際的な形で考察を深めたい人の要望にしっかりと対応できていますし、3年生からはメジャーという名称で呼ばれる他大学における学部を選択することになるので、自分の関心に合った専門的な学びを行うことも可能です(このようなカリキュラムのあり方が一般的に高大接続問題と呼ばれるものの解決策であると僕は考えています)。SOLの帰国生大学受験セミナーからは帰国生入試や一般入試を通じて例年2、3人が入学していますが、彼ら/彼女らからの評価も非常に高く、日々の学生生活が充実したものになっているという話をよく聞きます。
ユニヴァーサル・アドミッションズ4月入学帰国生入試は、2019年まで試験会場で小論文試験とグループディスカッションが行われ、それに一定のケースで書類審査が加わる形で合否の判定が行われていました。しかし、コロナ禍になった際に小論文の答案は事前に提出することになり、試験はオンラインでの個人面接のみになりました。新型コロナウィルスの感染拡大が収束に向かった段階で以前と同じような形で入試が実施されるのではと我々は予測していたのですが、求めている人材がここ2年間の入試のあり方でも取れるという大学の判断があったのか、今年度から書類審査とオンラインでの面接試験による合格者の選抜が緊急避難的な措置ではなく正式なものになったようです(ただし、合否の審査が2段階で行われるという点に違いがあります。今日、1段階目となる書類審査の合格発表がありましたが、SOLの生徒の結果を見る限り、ここで受験者を半分くらいまで絞り込むというようなことはなかったようです)。
ICUが帰国生入試で好む受験生のタイプの1つが「強い知的な好奇心を持っており、それをコミュニケーションや活動の中で発散していく人」だと我々は考えているのですが、今年度から出願手続き時に提出する書類の中で課外活動や自分の人生を大きく変えた出来事について報告することが求められるようになったので、その内容を上で述べたような人物像に合うように練り上げていく必要があります。また、ショートエッセイをこの段階で作成することはここ2年と変わらず、受験準備をしているところで教師などと相談をすることが可能なので、受験生の間で評価にあまり差がつかないことも考えられる一方で、今年度の入試で与えられているテーマは抽象度が上がっているため、他の人の発想が及ばない観点で文章を書くことができる人が有利な立場に立つ可能性もあるかと思います。
オンラインでの面接試験では志望理由などが様々な角度から確認されることが多いですが、ここでも大学が好む人物像に自分が合致していることをアピールできるかが重要なものの一つになります。その練習においては、自分の考えを明確な形で伝えることに加えて、試験官から何か問題点を提示された場合でもそれに前向きな姿勢で対応する力を身に付けることが重要なポイントの一つになります。
この入試の出願手続き期間は8月初旬に設定されています(今年度はWeb登録期間が8月4日~8月9日で、郵送物を送付する期間が8月10日までとなっています)。推薦状を2通提出することが求められていますし、ショートエッセイなども作成しなければならないので、スケジュールを確認しながら書類作成のプロセスを進めていきましょう。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
国際基督教大学(ICU)の ユニヴァーサル・アドミッションズ4月入学帰国生入試について ―帰国生大学入試についてvol. 335―
(2022年9月9日 19:45)