TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(26) ―英語学習の勧めvol. 195―

(2022年9月7日 18:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、人間の知的な好奇心が向かう範囲が広がるにつれて言語を学ぶ必要性が高まり、それに合わせて徐々に抽象度が高く具体的な文脈に依存しない言葉を使いこなすようになるが、そのための取り組みは学習者に大きな負担をかける可能性があるため、多くの人にとって運用能力を上げやすい母語で行うことが効率的であるはずだし、より多くのものを理解できるようになるにはその運用能力を上げる必要があると述べました。日本語を母語にする人にとって英文法の学習はまさにこのようなものに当たるため、彼ら/彼女らが何をスムーズに受け入れることができるかと日本語を使ってどのような学習に取り組んできたかが関連してくるのは当然のことであると思います。

さて、先日、ある生徒がIELTSのReading対策をしているのを見ている時に、あまりに多くの問題が不正解だったので、その原因を2人で探ってみたところ、アカデミックな文章でよく使われる一定以上の抽象度を伴った単語の意味を誤った形で認識していることが分かりました。彼に僕らの授業を取る前にどのような形で学習を進めてきたかを訊いてみると、英語圏の国の大学で経済学を専攻している日本人に家庭教師をしてもらっており、その人が「英語を学ぶ際には英語のみを使うべき」という現在の日本社会でよく見られる考えに同意していたために、単語の意味を調べる際にもオンライン上の英英辞書を使うことだけが許可されており、その説明に意味が分からないものが多く見られるため、辞書を使う頻度が徐々に下がっていったそうです。

しかし、アカデミックな文章でよく使われる単語の中には、日常生活でふれる機会が少ないなどの理由でその意味を推測するために必要なものを具体的な文脈で得るのが難しいものが多くあります。また、以前の記事でも述べましたが、例えば、be concerned withという形ならば「関係している」、be concerned aboutであれば「心配している」という意味で用いられるconcernのように語源を調べることがなければ関連性がよく分からない意味をいくつか持っているものがありますし、considerable(「相当な、多量の」)、comprehensive(「包括的な」)といった単語に出会った際に、元の語であるconsider(「考える」)やcomprehend(「理解する」)とのつながりがよく理解できず当惑した経験をした人も少なくないはずです。

このように意味が抽象的でその全体像を把握するのが実際に使われているのを見たり聞いたりするだけでは難しいものを習得していくプロセスでは、一般的に具体的な使用体験の積み重ねによって意味や用法をしっかりと理解している母語を用いるのが効率的だと考えられます(そもそも、英英辞書は学習者用のものであっても、ある単語の定義を説明するのに2000~3000語を使っているので、意味が理解できているものがその水準を超えていない場合に成果を出すことを考えると、英和辞書のように学習者の母語が用いられたものを使用するしかありません)。ただし、ここで一つ注意しなければならないのは、アカデミックな単語の意味を英和辞書で調べた際、そこに見られるのは抽象度が同じような日本語であることが少なくないということで、英単語の学習をスムーズに進めるには、日本語で語彙を蓄積していく取り組みをする必要があるのです。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

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