こんにちは。SOLの余語です。
前回は、海外の教育機関に在籍した経験のある人から人気を集める首都圏の有名私立大学の一つである上智大学の海外就学経験者(帰国生)入試の概要を紹介しました。この入試では、合否の判定において筆記試験の出来が重視されることは全ての学科に共通した特徴ですが、TOEFL iBTやIELTSといった外国語運用能力試験の成績がどの程度の関連性を持っているかは学部・学科によって異なります。どこを受験するかを決める際にはまずはその点を確認した方がよいでしょう。
さて、この大学は日本の高校を卒業した人を対象に公募推薦入試を実施していますが、その出願資格を認める条件に高校3年間の成績に関するもの(「評定平均値」がそれに当たります)だけでなく、外国語運用能力試験に関するものが入っているため、海外の教育機関で学んだ経験のある人が受験する入試に入れることが多いものになっています。実際に、外国語学部英語学科などは帰国生入試で入学した学生が立て続けに不祥事を起こしたことを理由にその合格者数を大幅に減らした代わりにこの入試で多くの人を入学させるということを行った時期があります。
この入試の筆記試験や面接試験の実施の方法やそれらの試験に対する対策などは海外就学経験者入試と大きな違いがない(小論文試験で出題される文章は公募推薦入試の方が簡単です)一方で、出願手続き時に提出する書類に関しては、事前に各学科が指定するトピックに関してのレポートや自己推薦書を作成することが求められるという特徴があります。このうち、レポートの内容が合否の判断に直接関わり合いを持っている学科は少なくないと思われますし、少なくとも面接試験において面接官が質問する時の材料の一つとなります(しっかりとしたものが提出できた場合にはほとんど質問が出ないという話も聞きますが)。
そのため、レポートを作り上げていくプロセスには十分な時間をかけることが必要になりますし、与えられるトピックが各学科の専門領域となる学問に強い関連性を持ち、受験生の適性を測るものになります(例えば、文学部英米文学科では「英米文学作品をひとつ読み、特に印象に残った登場人物について論じなさい」、法学部国際関係法学科では「国際社会において法が果たす役割・機能について、具体的な例を挙げつつ論じてください。そのうえで、大学で法学・政治学を学ぶことの意義についても述べてください」というのが昨年度のテーマでした)ので、これに自分が知的な関心を抱けるものなのかどうかで受験する学科を選んだ方がよいと思われます。また、国際教養学部ではレポートの提出を求めていないので、自己推薦書を充実したものにするのが望ましいと我々は生徒に話しています。
この入試の出願手続き期間は11月初旬に設定されています(今年度はWeb登録期間が11月1日~11月8日で、書類を郵送する期間が11月9日までです)。学校長の推薦状など、高校に作成してもらわなければならない書類が多くあり、その事務手続きには時間がかかるのが一般的なようですので、スケジュール管理をしっかりと行った方がいいでしょう。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
上智大学の公募推薦入試について ―帰国生大学入試についてvol. 338―
(2022年9月30日 19:45)