現在の教室の状況について(2022年8月8日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 201―

(2022年8月8日 19:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、SOLの帰国生大学受験セミナーで学んだOBOGの多くが教室を訪ねることを「遊びに行く」と表現することについて、我々が彼ら/彼女らに単なる生徒ではなく、長い期間に渡って関係を構築していく相手として接していることに加えて、大学受験をした年度を超えて様々な人と継続的なコミュニケーションを取れる場にこの教室がなるのが望ましいと考えていることが背景にあるのではないかと述べました。教室で交流が深まった結果、OBOGの間で相互扶助的なコミュニティーが形成されればよいなと考えています。

2022年7月現在、前島が55歳、僕が46歳になりますが、ここ30年間、日本社会の姿が大きく変化するのを目の当たりにしてきました。太平洋戦争終了後から1990年代に入る辺りまで、多少の変動があったものの、製造業を主軸産業として経済が大きく発展し人々の生活が全般的に豊かになるという方向性で動いてきたこの社会は、バブルの崩壊とその後の対応の失敗により、時に「失われた30年」とも呼ばれる長い停滞の時代に入りましたし、その後のグローバル化や情報化の進展に伴い新興国が台頭した影響で、雇用をサービス業に依存するようになり、非正規社員に代表されるような経済的な側面が不安定なものになっている人が増加しています。

最近、この教室に通っている人の中には、日本経済が「右肩上がり」であった頃を知っている人はおらず、雰囲気が明るいものとは言えない状況が目の前にあるのが当たり前になっているようですが、今後もAIの発展で単純労働だけでなく、会計士や税理士といった一定以上の知的な能力を必要とする領域で雇用が多く失われると言われていますし、他の先進国よりも急激に人口が減少するフェーズに入っていくことが予想されています。また、ここ2年間、多くの国で甚大な被害を生じさせている新型コロナウィルスのような人間社会で感染が拡大したことのない新しい病原体が、グローバル化によって経済活動が行われる場が広がっていったり人々の移動が増加したりすることによって大きな影響を及ぼす可能性があることを指摘する識者も少なくありません。ここ30年で大きく不安定な状態になった日本社会の先行きはさらに予測が難しいものになったと言えるでしょう。

そのような状況においては、日常生活で何か大きな問題に直面した際に国や地方団体の援助を期待できないかもしれませんし、解決に必要なものが全て民間の企業のサービスの中に取り込まれてしまい、財力がない人にとっては利用できないものになってしまうこともありえます(マルクスが『資本論』で示した考えが正しければ、このような展開になるのは「想定外」のこととは言えないでしょう)。ここで頼りになるのは、「他の人にとっての一大事は(全部ではないにしても)自分にとっての一大事である」という考えを持った人で構成されたコミュニティーであり、金銭的な負担がない形で援助が期待できるのと同時に、誰かが困っている時は自分が身銭を切って支援を行うという形で参加できる人間関係が身近にない人は近い将来大きなリスクを抱える可能性があると我々は考えています(と言っても、ほとんど哲学者の内田樹氏の受け売りですが)。そのため、SOLの教室を(それほど大きな規模ではないものの)相互扶助的なコミュニティーを形成するための基礎にできればと思っているのです。

さて、東京23区やその近郊では新型コロナウィルスの感染拡大が続いており、新たに感染が判明した人の数もこれまでになかった水準で高止まりしています。現在、教室にはグループ指導に参加している人が来るだけでなく、資格試験の2次試験を2週間後に控えている人が自習していますので、感染防止のための対策をできる限り行いたいと考えています。

それでは、帰国生の大学受験やSOLの帰国生大学受験セミナーなどに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

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