TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(24) ―英語学習の勧めvol. 193―

(2022年8月3日 19:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、僕が昨年末に見た日本在住の日系ブラジル人の家庭で育った子どもが直面する日本語で教育を受けることから生じる問題に関する特集の中で、彼ら/彼女らの母語であるポルトガル語で教育を受けた経験と日本語運用能力の伸びに関係があるという指摘があったことを紹介しました。これは、上智大学の外国語学部のように外国語教育を専門領域とするところが帰国生入試において受験生に一定の水準以上の日本語運用能力があるかを確認することが多いことと通じるところがあるように思われます。

この教室では、TOEFL iBTやIELTSのReadingとWritingの対策を主に行っていますが、そのスコアアップに時間がかかる生徒の様子を見ていると、以前の記事でもふれた文法に関する理解が十分なものでないことが問題になっているケースがあります。高校を卒業した後に対策を始めるなど、準備にかけられる時間があまりないケースを除いては、英文を正しく読んだり書いたりするのに必要最低限の文法事項に関する解説をしており、その内容が定着することを目的として英文和訳や和文英訳の問題に取り組んでもらうこともあります。

その中で、我々は日本の中学校や高校の授業などで見られる文法用語をできるだけ使わず、それぞれの機能を一般的に用いられる言葉を使って解説するようにしています。それでも、中学校を卒業するまでの時期に国語の授業などで日本語の文法に関する一定の理解を蓄積していることが予想される人も多いので、単語が文の中で果たす役割やその他の単語もしくは文との関係性などについて、「名詞(noun)」や「動詞(verb)」、「形容詞(adjective)」、「副詞(adverb)」といった品詞に関するものだけでなく、「主語(subject)」、「述語(verb)」、「目的語(object)」、「修飾する(modify)」といったような言葉を使うことがあります。

これらの用語を使った時の生徒の反応は様々で、問題なく理解ができる人もいる一方で、それが指し示す意味がどのようなものかについて全く分からないという人も少なくありません。また、例えば「目的語」について、例文を見せながら「文で表している動作の影響を受ける人やもの」で「通常、『述語』(この前に『述語』がどのようなものか説明をしているという前提です)となる『動詞』(これについても同様です)の後ろに来る」という説明をしても、それによってこの語の意味が分かるかどうかも人によって異なります。そして、このような言葉の意味が分からなかったり、その説明にピンと来るものがなかったりする生徒は効率よく学習を進めることができないという問題に直面することになるのです。

僕は上で見たような生徒の力の差がどこから生じて来るのかに常々疑問を感じており、彼ら/彼女らがこの教室に来るまでの学習に関する経歴などを確認したり、そこでどのような取り組みをしてきたかについて話を聞いたりしています。今のところ、例えば高校から単身留学した人の場合、現地の高校に入学する前に一定の期間語学学校に通っている人が多いものの、そこで文がどのように形作られるかやその分析において用いられる言葉がどのような意味を持っているかについての理解が深まったという人はあまりおらず、日本の中学校を卒業するまでに母語である日本語を使った様々な学習をしっかりこなしてきたかが大きな意味を持っているケースが多いようです。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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