こんにちは。SOLの余語です。
前回は、早稲田大学国際教養学部のAO入試の概要を紹介しました。この学部はカリキュラムの作成に関して一定の方針がなく、学生の学問的な関心が深まることが期待できない(「カルチャースクール」と評価する学生もいるようです)ため、特別な事情がない限り我々が受験を勧めることはありませんが、これまでの生徒で合格した人の状況から必要なものを推測しましたので、「国外選考」もしくは「国内選考」を受験する人に参考してもらえればと思います。
さて、首都圏の有名私立大学で早稲田大学とともに大きな注目を集めているのが慶應義塾大学です(メジャーな経済誌でこの2つの大学を比較する特集が組まれているのをよく目にします)。この大学は、その知名度や三田会という卒業生団体の存在によって日本全国から優秀な学生が集まってくるものの、SFCの総合政策学部や環境情報学部を除いた各学部が彼ら/彼女らの期待に応えようとする動きが以前からあまり見られず、SOLのOBOGの中でもカリキュラムや授業の実施のあり方に不満を漏らす人が少なくありません(コロナ禍で主な授業がオンラインに移行した後の対応についてもいろいろな問題があったようです)。ただし、教員には社会的な評価の高い人が集まっていますので、大学に入った後の目的が明確になっている人にはよい環境だと思われます。
帰国生入試において、ほとんどの学部では出願手続き時に提出する書類の内容が合否の判断において大きな役割を果たします。特に、卒業した高校が採用している教育制度における大学入学資格を取得するための統一試験の成績とTOEFL iBTやIELTSのスコアが重要で、どちらもある年に受験する人の中でトップクラスのものを取っておくことが必要になります(例えば、TOEFL iBTで100、IELTSで7.0というラインを割り込むと不合格になる可能性が高まります)が、今年度からアメリカのSATのスコアで出願する場合、Reasoning Testの結果だけを提出すればいいことになったので、高校の成績も見られる可能性があります。また、志望理由書は面接試験を実施する際の材料の一つになりますが、自分が学びたいと考えていることが学部のカリキュラムが提供するものと合っているかが大切なポイントになることに注意した方がいいでしょう。
書類審査を通過した人のみが受験できる第2次選考では、SFCの2つの学部を除いて小論文を書くことが求められますが、これを論述試験として扱っている法学部では与えられたトピック(この学部には政治学科もあるのですが、法学に強い関連性を持つものが出題されることもあります)に合った文章を書くことで自分よりも出願手続き時に提出した書類の内容がよい人よりも高い評価を得ることが可能ですし、文学部では外国語を第二言語として学ぶ際の基盤になる日本語運用能力が確認されるので、このような学部の受験を考えている人はその対策を十分にすることが望ましいと思われます。
出願手続き期間は、例年、7月上旬から中旬にかけての時期に設定されています(今年度は7月8日~19日がWeb登録期間で、8日~20日が書類の郵送を受け付けている期間でした)。提出する書類に関しては、商学部を除く文系学部において通っていた高校の校長または教員の推薦状の提出が求められていること、TOEFL iBTやIELTSは大学が指定する期間に受験していて結果の直送の手続きを済ませたもの(今年度は前者が2020年8月1日~2022年6月30日、後者が2022年7月20日でした)でなければ提出が認められないことを入試要項で確認してください。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
慶應義塾大学の帰国生入試について ―帰国生大学入試についてvol. 332―
(2022年8月19日 20:15)