TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(21) ―英語学習の勧めvol. 190―

(2022年5月7日 16:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回までの記事では、TOEFL iBTやIELTSのReadingで出題される文章を正しく読むために必要なものとして、前後の文の内容や文章全体のテーマから単語の意味や文の構造などを適切に推測する力があるということを述べました。このような力を伸ばすには、問題演習で使った教材にある文をいくつか和訳してみるといった形で細かく復習する必要があります。

さて、僕は以前にある大学の大学院に在籍したことがあるのですが、そこで最も時間や労力をかけたのが(法学研究科にいたにもかかわらず)ドイツ語の学習でした。大学ではスペイン語の授業を履修していましたし、大学院の授業でドイツ語の文法などを教えてくれるものはなかったので、自分でテキストを購入して基礎的な事項を学び、ドイツ語の文献を日本語訳するクラスに出席する形で読解力を伸ばしていきました。

そのような授業の一つで、授業を担当する教授がよく言っていたのが、そこで扱われているものを文学部でドイツ文学を専門とする人に読ませてみても、単語の意味だけでなく文の構造を誤って捉えてしまうことがあるということでした。その教授によれば、ドイツの憲法に関する議論やその歴史に対する理解がその分野の研究者が書いた論文を正しく理解するにあたって大きな役割を果たしており、反対に彼にとっては文学者の書いたものに読むのが難しく感じられる部分が多くあったそうです。

実際に、僕もドイツ語の論文を読む時に文の構造などが明確な形で分析できない場合でも、それを日本語で吸収してきた知識で補って内容が理解できたと感じられるケースがあったので、この話を聞いて「なるほど」と思った覚えがあります(今考えると初学者なのに生意気ですね)。今でも、授業の教材にするための英語の文章を探している時に、他の分野に比べて比較的知識がある政治や経済、アメリカ社会などに関するものを読んでいると、スムーズに文中にあるものの意味や役割を把握できているという感触があることが多いです。

「英語学習の勧めvol. 188」では、以下の文のwhichが何を指しているかについて、前後の文の内容などから推測する力があれば正しい判断ができると述べました。

Or maybe they(many Americans) dislike its(science’s) democratizing power, just as conservative elements distrusted the ascendancy of human logic in the eighteenth century over divine inspiration which helped spur the French and, ironically, American revolutions.

この点について、キリスト教の教義や王の権威ではなく人間の理性的な判断に価値があるというルネッサンス以後にヨーロッパで有力なものとなったというアメリカ独立革命やフランス革命に関する知識(もちろんこの2つの歴史上の事件が起きた背景に関しては様々な解釈があり、そのような単純な話でもなさそうですが)があれば、whichが指しているのはthe ascendancy of human logic in the eighteenth centuryであるとより簡単に理解できることが確認できると思います。このように、ある文章で取り上げられているトピックに関する知識もその内容を正しく理解するのに大きな役割を果たすのです。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

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