こんにちは。SOLの余語です。
前回は、学問的な関連性があまりないのにもかかわらず様々な学部・学科に出願することについて、小論文試験の対策が中途半端なものになるため望ましくないと述べました。帰国生入試やAO入試の受験性にこのような行動をする人が少なくないことの背景には、通常の塾や予備校では生徒が抱える不安を小さくするような形で進路指導をするのが難しいことがあるのではないかと考えられます。
さて、TOEFL iBTやIELTSのような外国語運用能力試験の成績と小論文試験の出来によって合否が決まる入試で、一つ一つの大学や学部・学科が何をどの程度重視しているかを把握できないことは、どのように受験準備を進めていくのかについての判断を誤ったものにする可能性もあります。例えば、IELTSのスコアが6.0でも小論文試験にしっかりと対応できれば合格が期待できる中央大学商学部の英語運用能力特別入試において、合格可能性を確率だけで捉えるのであれば、IELTSのスコアが高ければ高いほど有利になっていくので、出願手続き期間が始まる直前の時期までその対策を続けようと考える人が出て来ると思われます。
しかし、以前の記事でも述べている通り、外国語運用能力試験の成績アップを阻む要因には様々なものが見られます。そして、その中には、ただ問題形式に慣れていないといったように短期間で解決できるものもあれば、蓄積している語彙や表現に関する知識が大幅に不足している、もしくは文法に対する理解が十分なものでなく例えば1つの文がどこまで続いているか、単語と単語の間にどのようなつながりがあるかについて正しく判断できないというケースのように長期的な取り組みを必要とするものもあります。
後者のような問題に直面している人でも、特にIELTSのwritingやspeakingは採点者の個人的な評価がスコアに反映される傾向がある(essayの再採点を申請するとwritingのスコアが大きく上がったという事例は珍しくありませんし、speakingでも試験官と気が合ったことだけが理由でいつもよりも高いスコアが取れたと思われるケースもあります)ため、高校を卒業する時点でoverall scoreで6.0を取れることがあります。
このようなケースで、さらなるスコアアップを目指してIELTS対策を続けたとしても、出願手続き期間が始まるまでの間に目標を達成できないことも考えられます。また、IELTSのスコアが高くても小論文試験の出来がよくなければ不合格になることがあることを考えると、日本語運用能力がどの水準まで高まっているのか、学習に対してどれだけ強い意欲を持っているかによっては、小論文試験に向けた準備に使う時間を削って英語の学習をするよりは、学部・学科が専門領域とする学問に関連した本を読んで知識を蓄積したり、添削された答案の書き直しをしたりといった取り組みをする方が合格可能性を上げることにつながります。受験準備を行う期間で何を学習することに重点を置くべきかについて適切な指導をすることができるようになるためには、一つひとつの入試で合格するのに何が求められているかを正しく把握することが必要になるのです。
さて、東京23区やその近郊では、新型コロナウィルスに感染する人が減少するペースが鈍化傾向にあり、近いうちにリバウンドするのではないかという声も聞かれます。OBOGの中には、実際に感染した人もいるようですが、幸運なことに現在教室に通って来ている人はまだ感染していません。今後も感染対策をしっかり行っていこうと思います。
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現在の教室の状況について(2022年4月4日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 183―
(2022年4月4日 18:45)