現在の教室の状況について(2022年3月7日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 178―

(2022年3月7日 18:00)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、通常、出願手続きの際に提出される書類の内容によって合否が判断されると言われる慶應義塾大学の帰国生入試において、試験会場で書くことが求められる小論文を「小論文試験」としている法学部だけでなく、言語に関わる学問を扱う文学部でも答案で見られる日本語運用能力の高低が合格者の選抜に大きく関係していると述べました。受験を考えている人はその準備の段階でこの点に注意してもらえればと思います。

このような事例は、入試の実施のあり方から一般的に推測される合否の判断で重視されるものでは不十分な場合があることを示しているのだと考えられますが、扱われる学問領域などから考えたものが同じような誤りを含んでしまうというケースも見られます。例えば、英語教育に関する研究を専門としており、幼い頃から英語を実際に使えば使うほどその運用能力が高まると主張する研究者が中心的な位置を占めている上智大学外国語学部英語学科は、英語運用能力だけが他の受験生に比べて高ければ合格可能性が高まると何となくイメージしている人は少なくないかもしれません。

確かに、この学科の帰国生入試では、面接試験でどれだけ積極的に英語でのコミュニケーションが取れるかを試されたり、writingやlisteningといった試験もあったりするといういわゆる「英語の四技能」に関わる形になっていますので、それはあながち間違いではありません。ただし、readingの試験では英文和訳問題や日本語による説明問題が出題され、そこで英語で書かれた文を読解する能力だけでなく、その内容を自然な日本語に移し替える能力も測られます。ここでは、受験者の日本語運用能力が文を組み立てるという形で示されることになるのです。

そして、実際の入試結果を確認してみると、例えばカナダの高校に3年間単身留学し、出願手続き時に提出したTOEFL iBTのスコアが80台中盤の人でも日本語運用能力が高く英文和訳問題などにしっかりと対応できれば合格できることが分かります。前回も述べた通り、母語が確立される時期を過ぎた人が第二言語の学習がスムーズに進めるためには母語の運用能力も順調に伸びていることが求められるという言語学習の研究分野における有力な学説を踏まえれば、このような結果が出るのは不思議なことではありませんが、この学科が一般的に抱かれるイメージには反したものになるのではないかと思います。

このようなことも受験者の能力を数値化しやすい側面からだけではなく、彼らが学んでいる際に見せるその全体像を掴むことができる状況があるからこそ理解できるものなのです。

さて、東京23区やその近郊では、新型コロナウィルスに新たに感染した人の数が前の週の同じ曜日に比べて増えている日もあれば減っている日もあるという状況になっています。日本よりもワクチンの3回目接種が早く進んでいるオーストラリアやニュージーランドでも感染拡大が続いているという話も聞いていますので、今後もその対策に力を入れていきたいと考えています。

それでは、帰国生の大学受験やSOLの帰国生大学受験セミナーなどに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

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