こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試を受験する際に、分業制を採る一般的な予備校や塾では生徒が確信を持てる形で進路指導をすることが難しいためか、一人の受験生が専門とするものに関係性が見えない形で多くの学部・学科に出願することがよく見られると述べました。このような方向性で受験準備をすることの問題の一つが、志望理由書の作成といった出願手続きに関する作業に時間が取られてしまい、小論文や英語の対策にかける時間が削られてしまうことです。
学問分野を横断する形で様々な入試を出願することには、受験者に学習を進めていく中で大きな負担がかかる可能性があるという問題もあります。SOLの帰国生大学受験セミナーの生徒の保護者が小論文試験の過去問などを見て、「帰国生入試やAO入試は簡単だというイメージを持っていたが、実際に出題される問題文は難しいものだった」というような感想を抱くことは少なくないようですが、そのように感じる理由の一つに自分が大学で学んだ学問分野と生徒が受けようとしている学部・学科で扱われるものが、人文科学系と社会科学系というように系統が異なっていたり、同じ社会科学系の学問でも経済学と法学のようにそれぞれ独立した学部が設けられているものであったりということがあります。
一つ一つの学問領域には、前提となる人間という存在の捉え方や研究の対象とされる問題、それに対する分析や手法などに違いが見られます。経済学と経営学、公共政策学のように、これらの点で重なった部分が大きく、一方について学ぶことで他方の理解もしやすくなる分野もありますが、他の学問では見られないような概念や用語が多く使われるものもあり、そこで書かれた文章の内容を正しく把握するには一定の学習をしなければならなくなるということもあります。また、帰国生入試やAO入試はそれほど難しくないと言われることが多いですが、首都圏の有名大学などではある学部・学科で学ぶためのより高い適性を持っている、もしくは高い学習意欲を持つ学生を入学させるための有効な手段と捉えるところも増えており、小論文試験ではその専門領域に関係する文章が出題されるようになっています。
その結果、大人でも大学在学中や卒業後の生活の中でふれることがなかった学問を扱う学部・学科で出題されるものを難しく感じるということが起こるのです(僕も生徒から質問を受けることもあるのでなるべく広い範囲の本を読むようにしていますが、それでも哲学や心理学の文章になると辞書を引きながらでないとうまく理解できないものがあります)。この点、帰国生入試やAO入試を受験する人はこれから専門的に何かを学び出す訳ですから、1つの学部・学科に絞った形で受験するのだとしても、そこで取り上げられる学問に対する知識や理解を人によって一から蓄積する必要があり、それだけでも学習上の負荷を重たく感じる可能性があります。このような状況で、専門とするものを横断する形で複数学部・学科を受験することになると、準備が中途半端なものになってしまい、最終的に受験結果が満足のいくものにならないということになりかねないのです。
SOLの帰国生大学受験セミナーでは、ここまで述べてきたことを踏まえて、複数の学問を学ぶことに強い意欲を持っている人以外には、なるべく受験する学部・学科が重なる形で受験する入試を選択するのが望ましいと生徒に伝えています。また、生徒の学力や学習の状況を見て、進路指導の際に受験する入試を3~5個程度(「滑り止め」、「合格が期待できるもの」、「チャレンジになるもの」、各1つか2つという感じです)と数を抑える形で案内していますが、教師が小論文試験に対応する力を正確に把握していることがあり、生徒も不安を感じることなく受験準備を進めていけるようです。
さて、東京23区やその近郊では、新型コロナウィルスへの感染が新たに判明した人の数が徐々に減少しており、教室の裏にある桜並木を歩く人の数も桜が満開になったこともあって急激に増加したように感じます。それでも、OBOGから感染してしまったという報告を受けることがありますので、今後も感染防止のための取り組みをしっかりやっていこうと思います。
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現在の教室の状況について(2022年3月28日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 182―
(2022年3月28日 18:30)