今から帰国生入試やAO入試に向けて準備すべきことについて(5) ―帰国生大学入試についてvol. 315―

(2022年3月25日 18:30)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、外国語運用能力試験の対策に関して、それが必要になる人が共通して取り組まなければならないのが意味や用法が分かる単語や表現を増やしていくことだと述べた上で、TOEFL iBTやIELTSを受ける場合にお勧めの教材をいくつか挙げました。人によってどのような教材を使いやすく感じるかは異なりますが、その中でも代表的な3つのアプローチを取ったものを紹介していますので、これから単語や表現の学習を始める人に参考にしてもらえればと思います。

さて、日本語を母語とする人の英語を始めたとした外国語運用能力については、海外に滞在してそれを日常的に使っている場合でも様々な形が見られ、それによって運用能力試験に向けた準備の仕方も考えなければなりません。例えば、英語での読み書きに関する能力が年齢相応の水準まで伸びており、TOEFL iBTやIELTSの出題形式に慣れていない(TOEFL iBTのspeakingはコンピューターを相手にしますので、そのような話をよく聞きます)というのであれば、ETSやCambridge University Pressなどが発行している問題集を解くだけでも十分な対策になるでしょう。

しかし、英語圏の国に単身留学をする前に日本の中学校で体系的に英文法の学習を行ってきた人でも、これらの試験のReadingで出題されるような構造が複雑な文を読むという経験が不足しているために、与えられた時間の中で正しく全体像を把握できることにつながるように自分の知識を活用できないという人は少なくありません。また、そもそも日本で受けた英文法に関する教育で定着したものも人によって違いがあり、中には日本の中学校で英語を学ぶことに嫌気が差してしまい、文法についての理解がほとんどないままに高校の最終学年に入ってしまったというケースも見られます。

また、保護者の海外赴任に同行したといった理由で海外に長期間居住した経験を持つ人は、教育機関で使われていた言語に関するルールを経験を蓄積する形で習得することが多いと思われますが、体験で得たものを正しく分析する能力が不足しているなどの要因で、TOEFL iBTやIELTSなどの試験で高い評価を受けることができないということもあります。そして、母語である日本語の運用能力を具体的な文脈なしに文章で書かれたものを理解するのに必要な水準まで伸ばす機会がなく、それが第二言語の学習にも悪影響を及ぼしているという言語教育の研究において「ダブル・リミテッド」と呼ばれる状態に陥っている人もいるかと思います。

このように外国語運用能力試験の成績アップを阻む要因には様々なものがあり、どれがどの程度関連しているかは人によって異なります。学習者が一人で対策をして成果が出るのは最初に挙げた事例だけだと思いますが、誰かのサポートを受けて学習を進める場合には、ただ漫然と問題演習を行うのではなく、一人ひとりの状況に合わせた対策を提示してくれるのかを確認しなければなりません。

また、外国語運用能力試験の対策はその言語を母語としている人と一緒に行うのがよいと考えている人は少なくないかと思いますが、もしそれが全ての人にとって当てはまる話なのであれば、その言語が使われている環境で生活をしているだけで運用能力が自然と伸びていくはずです。海外での滞在期間がどのようなものであったとしても、TOEFL iBTやIELTSなどでスコアアップするのに難しさを感じている人は、日本語で様々なことを解説してくれる人にサポートを受けてみる体験を一度してみるのがいいと思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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