こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試で最も多く見られる外国語運用能力試験の成績と小論文試験の出来を合わせて合否判断をするタイプのものについて、小論文試験では受験者の学力が様々な側面から試されるため、それに対応する能力が統計的な分析に馴染む形で評価することが難しく、分業制を採る一般的な予備校や塾では進路指導も生徒に確信を持たせるような形では行えない可能性があると述べました。そのような環境で学ぶ人が学部・学科の関連性が見えない形で多くの入試に出願することがよくあるようですが、それもこのような事情が関連しているのではないかと考えています。
帰国生入試やAO入試において、前回見たような形で多くの学部・学科のものに出願することにはいくつか問題がありますが、その一つが出願手続きに関連するものです。知っている人も多いかと思いますが、これらの入試では高校の卒業証明書や成績証明書、在籍期間に関する証明書に合わせて、志望理由を述べたり高校時代に取り組んだ活動などについて説明したりする書類の作成が求められます。また、大学や学部・学科によっては、大学入学資格を取得するための統一試験の成績証明書や卒業した高校がどのような教育機関であるのかを説明する書類といったものを提出しなければならないところもあります。
入試要項を確認しそれぞれに必要なものを揃えるだけでも手間がかかりますが、様々な学部・学科に出願することになると、志望理由書で何を書くのかを決めるのに多くの時間を割かなくてはならないという状況に直面してしまうことが考えられます。多くの入試では、志望理由書の内容やそれを資料とする面接試験の出来は一般的に想像されているほど合否に大きな影響はありません。しかし、志望理由書の中で学びたいこととされているものが入試を実施している学部・学科で扱っているものと合っていなかったり、対応できる教員がいなかったりする場合には、他の試験でよいパフォーマンスを見せたとしても不合格になる可能性があります。
そのため、この書類の作成にはそれなりに時間や労力をかけるべきということになりますが、同じ学問を扱う学部を複数受験する場合には一つ完成してしまえば大学や取りたいプログラムの名前だけ変えればよいのに対し、上で述べたような形で出願するとなると、それぞれの学部・学科で学びたいことは何かということを一から考えなくてはなりません。そして、そのプロセスの中で本を読んだりインターネットで情報を検索したりしているうちに、肝心の小論文試験に向けた準備にかける時間が削られてしまうことになるのです。
また、同じ系統の学部・学科に出願する場合でも、その数があまり多くなってしまうことは同じような影響を及ぼす可能性があります。これは別の記事でも述べましたが、帰国生入試やAO入試は様々な国や地域にある高校を卒業した人が受験するものであり、特に経験があまりない人が担当者になっているところでは、提出された書類が出願資格を与える条件に合っているのか判断できないケースが見られます。受験者はそれに対応しなければなりませんが、北半球の高校では教師が夏休みに入ってしまい全く連絡が取れなくなるといったことも起こるため、本来であれば学習に費やすべき時間や労力を無駄に消費してしまうということになってしまう可能性が生じてしまうのです。
さて、東京23区やその近郊では、2週間近く、新型コロナウィルスの感染が新たに判明した人の数が前の週の同じ曜日に比べて減少するという傾向が見られます。3回目のワクチン接種が進んでいることもあり(僕らも先週末に受けました)、新たな変異株が出現しない限りこの方向性で事態が推移していくと予想されており、OBOGにもあまり大人数でなければ自由に遊びに来てよいと案内しています。ただし、この時期は個別指導が多いため、今後も感染対策をしっかりやっていきたいと考えています。
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現在の教室の状況について(2022年3月21日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 181―
(2022年3月21日 18:15)