帰国生入試の出願資格を得るための条件について(12)―帰国生大学入試についてvol. 309―

(2022年1月14日 18:30)

こんにちは。SOLの余語です。
2021年7月21日の記事では、いくつかの大学の帰国生入試の要項に見られる「大学入学資格を取得するための統一試験の成績を提出することが望ましい」という表現について、そのような大学では書類審査の段階で不合格者が出るため、実際には提出が必須であるのと同じ意味であると述べました。また、一般的にこのような帰国生入試の書類審査を通過するためには統一試験でよい成績を修めなければならないことに注意してください。

さて、帰国生入試で出願資格を得るための条件になっていることが多いものとして最後に取り上げるのが、大学が指定する外国語運用能力試験の成績を提出できること、もしくはその成績に関して一定の水準を上回っていることです。この点について、以前は中国語やドイツ語、フランス語、スペイン語といった英語以外のものでもよいとする大学がありましたが、グローバル化が進む世界の中で英語が国際共通語として扱われるようになりましたし、多様な言語を運用する能力を図る試験一つ一つの位置付けを行うことに伴う手間を日本の大学が嫌がっているためか、英語に関するものに絞られるようになってきました。

ただし、一口に英語運用能力試験と言っても、日本の大学が認めているものにはTOEFL iBTやIELTS、英検、TOEIC、TEAPなど様々なテストがあります。そのうちどれの提出を認めているかは大学によって異なりますし、早稲田大学の帰国生入試のように学部・学科で違うというケースもあります(TOEFL iBTやIELTSはほとんどの大学で共通して認められるようです)。自分が入学を希望する大学や学部・学科ではどのテストの成績を提出することで出願資格が認められるのかを事前に入試要項で確認するようにしましょう。

また、インターネット上で帰国生入試やAO入試に関する情報が多く出回っていて、英語運用能力試験についてのものを目にすることも少なくないので、誤った理解を持つ人が以前に比べると少なくなったように思いますが、大学が定めている基準を超えてしまえば英語運用能力試験の成績は合否に直接的な関係がなくなると考えている人が今でもいます。確かに、上智大学の文学部国文科や哲学科のようにそのような傾向が見られるところも存在するのですが、それでも多くの入試では大学が提示する水準よりも高いスコアを取っておかなければ合格可能性が下がってしまいます。そのため、受験準備の一環として英語運用能力試験の対策には時間をかけて取り組むべきということになると思います。

そして、英語運用能力試験の成績を証明する書類は出願手続き期間中に大学に提出する(直送する場合には大学に届いている)ことが求められますが、今年度の受験であれば2020年10月から2021年5月末日までに受験したもののみを有効とする早稲田大学の帰国生入試のように、期間についての制限を課している大学があります(出願手続き期間に書類が届かなかった時に生じるトラブルを回避するためです)。このような点についても入試要項などで確認するようにしてください。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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