現在の教室の状況について(2022年11月21日)―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 217―

(2022年11月21日 19:15)

こんにちは。SOLの余語です。
11月7日の記事では、若い人の間で自己評価(self-esteem)が低く新しいことに挑戦する意欲が弱い人が日本社会において多く見られるという様々な社会調査の結果からも見て取れる現象に関して、高い運動能力のような市場経済の中で高い価値があると捉えられるものを有していない場合に、大学の一般入試で測られるような学力の高低に指標を絞った形で評価されるようになったことがその背景にあるのではないかと述べました。僕の友人でも、自分の子供の様子を伝える時に、人格的な側面より学校での学びにどのように対応しているかを優先する人が多数派を形成しているような印象があります。

さて、日本社会で生活を送る若者は、上のような狭い尺度で自分の価値を評価されるだけでなく、早い時期から苛烈な競争に参加することを迫られるようにもなっています。その代表的な例が、中学受験とそれに向けた準備(僕が小学生の頃は4年生から始めるのが一般的でしたが、今は2年生から塾に通っているというのも珍しい話ではないそうです)だと思われますが、これに取り組む小学生の割合は年々高まっており、今では20%近くになっていると言われます。また、ほとんどの先進国では高校までが義務教育になっているのに対し、日本では高校への進学が自由に選択できるようになっており、遅い人でもこの段階で受験という競争に巻き込まれることになります。

最近、SOLの教室では、答案に書く字やノートの取り方がしっかりしており、社会のあり方などに関して一定以上の知識を持っているのに、学習意欲が旺盛ではない人が増えている印象があります。彼ら/彼女らにこれまでの学習に関する履歴を確認してみると、大半が中学受験をした経験があり、そこで学ぶことが自分の現在や将来にとってどのような意味があるのか分からないのに塾の授業の内外で取り組むよう求められているものが厳しいものであったこと、毎週末にテストがありその結果によっては友人と離れ離れになってしまうことなどが精神的に大きな負担となって、学ぶことに関してもネガティブなイメージを持つようになったそうです。

中学受験やその準備に関しては、そのサポートをする塾が一つの産業になったことに伴う問題が上で述べたこと以外にも考えられます。僕が小学4年生からそのようなところで学んでいた頃からその兆候は見えていたのですが、その対象が中学校、もしくは高校、大学になろうと関係なく、一般的に受験に向けた準備を行う塾では将来の生徒募集を効率よく行うために、社会的な評価が高い学校に入学できる可能性が高い人を優遇する傾向にあります。これは、教室のような学習環境だけでなく、授業を担当する教師やそれに参加する人数、教師などに質問ができる機会といった広い範囲に及ぶもので(教育の本義が、全ての人の潜在的な能力を最大限まで引き出すことにあるのであれば、現状で学力が低い人にこそ優秀な教師を当てるべきだと思います)、大学受験のための予備校では成績がよい人に最高の環境を与えた上で授業料を免除するところまで見られます。

これは全て予備校や塾が企業として運営されており、その活動のあり方が高い費用対効果が期待できるかという観点のみから決定されていることに起因していますが、このような学習環境では少数の優秀な成績を修めている人だけが高い評価を受けたり教師や職員の関心を集めたりするため、ほとんどの人の自己評価が大きく下がることにつながります。そして、そこから相互扶助的なコミュニティーを形成するために必要なコミュニケーションに関する格差も生じてくるのです。

さて、東京23区やその周辺では、新型コロナウィルスの感染拡大に関して第8波に入ったと言われており、「職場などで感染した人が増えている」という話を僕の周辺でも聞くようになりました。年内中に帰国生入試やAO入試を受験する人はほとんどいませんが、一般入試に向けてIELTSなどを受験する人はいるので、感染対策をするように生徒にも伝えていきたいと思っています。

それでは、帰国生の大学受験やSOLの帰国生大学受験セミナーなどに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

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