こんにちは。SOLの余語です。
前回は、慶應義塾大学の付属の高校に通う人が「これまで多くの苦労をしてきたため大学では楽をしたい」ので学習意欲が強い学生からの評判がよくない法学部政治学科への進学を希望することが多いということを述べました。このような現象を見ると、学力が高い人でもその地位を維持しようとすることで大きなストレスを感じる可能性があることが分かりますし、”Winners take all.”という考えが正しいと受け取れるようなメッセージを彼らに送るべきではないと思います。
さて、個人的な話になりますが、今年の1月にインターネットの映像ストリーミング・サービスの大手であるNETFLIXに加入しました。その後、生徒や友人にお勧めされた、もしくは世間で高い評価を受けている映画やドラマを見ているのですが、欧米のエンターテインメント業界が作り出すものこそが鑑賞に値すると言われて育った世代の一員である僕にとっては、韓国で製作された作品が質的に高い水準のものであることに(今さらながらという感じですが)驚きを感じましたし、文化や風景だけでなく、そこで取り上げられる政治や経済、教育などの面で直面している問題が現代の日本のものと似ているため、知的な刺激を受けることが多くあります。
様々な作品を見ていて印象に残ったのが、「お互いに支え合う仲間を持つこと」の重要性がテーマの一つになっているものが人気を集めているということです。例えば、『梨泰院クラス』という作品では、主人公が自分の親が殺された本当の事情を隠蔽した大企業の社長に復讐するというのが物語の本筋ですが、それと同時に彼とともに様々な厳しい状況を乗り越えていく仲間の存在が強調される場面が目立ちます。また、韓国のみならず日本の社会人も共感を覚えるという『未生』は、囲碁の世界で孤独に戦ってきた若者が企業に入り頼ることができる同僚を見つけたことで生きる意欲を取り戻す姿に加え、エリート新入社員が他の人の抱えている問題の深刻さを理解し彼らに敬意を払う形で人間関係を築こうとする様子も描いています。
日本でも、特にマンガやアニメの世界でこのような内容を伴った作品が子どものみならず大人からの広い支持も受けていると言われており、例えば、社会現象にもなった『鬼滅の刃』を僕も生徒から単行本を借りて途中まで読みました(今、9巻です)が、家族愛とともに仲間との友情の大切さに焦点を当てようとしているように思います。また、『ワンピース』は作者自身が高倉健が主演を務めていた『昭和任侠伝』に貫かれていた精神性(主人公は「不器用な男」で、目の前にどれだけ金銭などを積まれても仲間を見捨てられない男です)を現代に再現しようとした作品であるとインタビューで述べており、これも『鬼滅の刃』と同じ文脈で多くの読者を得たというように考えることができます。
このように昨今大人の間でトレンドになっているものを見て、「どのような状況であろうとお互いに支え合う仲間」が身近にいることを望んでいる人が増えていると考えるのは行き過ぎでしょうか?もしそうではないとしたら、これから社会の中で生きていく若者に”Winners take all.”という考え方は正しいというメッセージを送ることを厳に慎むべきだと思います。
さて、今週の個別指導や個別面談についてですが、東京23区やその近郊で新型コロナウィルスの感染者が再び増加しており、この週末に国の緊急事態宣言が再発令されるとの報道があります。そのため、公共交通機関を使って教室に来る場合には、ターミナル駅を使わないのであれば対面で、この条件を満たせないケースではzoomなどを使ってオンラインで行うことにします。よろしくお願いいたします。
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4月19日から4月23日までの個別指導などについて―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 152―
(2021年4月19日 18:15)