こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試で第1志望の大学に合格した人がその後も受験を続けるのを少なくとも黙認している予備校や塾があることについて、そのような形で一部の受験生に”Winners take all.”という考え方が正しいというメッセージを送ることが「他者が置かれた状況を慮る」意識を低下させることにつながるということを述べました。これは現代日本社会が直面する様々な問題をより深刻なものにする可能性があることを考えると望ましいとは言えないでしょう。
さて、先日、生徒と教室で話をしている時に、慶應義塾大学の付属の高校から内部進学する際に人気を集めている学部・学科はどこかということが話題に出ました。僕が学生だった頃は最も高い成績が必要になるのが医学部で、文系の学部だと経済学部や法学部法律学科に進むのが難しいという評判でしたので、今もそうなのではないかと思っていたのですが、医学部への進学の状況は変わらないものの、文系学部では法学部政治学科が圧倒的に人気を集めているのが現状だそうです。
確かに、法学部政治学科はこのところ一般入試でも偏差値が急上昇しており、それを受けてなのか帰国生入試でも志望順位が高いものとする人が増えているように感じます。しかし、学生からの評判があまりよくなかった20年前からカリキュラムや教育環境に大きな変化があったという話は耳にしたこともありませんし、大学が発行しているパンフレットやシラバスでも確認できません(むしろ一定の数の授業を他学部で履修しなければならないという条件ができているところを見ると、学生の教育に対する積極的な姿勢がなくなってきているという印象すら受けます)。
SOLのOBOGの間でも、特に学ぶことに積極的な姿勢を見せる人がこの学科についてこちらが聞いていて好ましいと感じる話をすることは全くありませんし、中には日本の大学で学ぶことがないと言って交換留学に行くための手続きをした人もいます。そのため、付属の高校の生徒の多くがどのような事情からこの学科を志望することになったのか疑問に思い質問してみたところ、ほとんどの人が「高校までの学習で疲れ果ててしまったため、大学では楽な生活を送りたい」と考えているという答えが返ってきました。
最近、政府の地方創生改革の一環で様々な入試で合格を出すことのできる人数に関する規制が大学に課されていることもあり、中学校や高校の受験で大学の付属校に入ることを希望する人が増えていますが、今回僕が聞いた話からするとその準備の中でよい成績を出し続けることに強い疲弊感、そして学習に対する抵抗感を感じている人が少なくないように思われます。このような状況を見ると、「SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 148」で述べたように、学力が高い人に対してであったとしても”Winners take all.”という考え方は正しいというメッセージを送るべきではないと言えるでしょう。
さて、今週の個別指導や個別面談についてですが、東京23区やその近郊で新型コロナウィルスの感染者が明確に増加する傾向に転じました。そのため、公共交通機関を使って教室に来る場合には、ターミナル駅を使わないのであれば対面で、この条件を満たせないケースではzoomなどを使ってオンラインで行うことにします。よろしくお願いいたします。
【個別面談お申込みフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form2.html
それでは、帰国生大学受験セミナーのグループ指導の内容や日程などに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。
【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/
4月12日から4月16日までの個別指導などについて―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 151―
(2021年4月12日 19:10)