こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、帰国生入試やAO入試を受験する人の中に第1志望の大学や学部・学科に合格しているにもかかわらず受験を続ける人が見られることについて、他の受験生に及ぼす影響だけでなく、そのような行動を取る人本人にとっても望ましいことではないということを述べました。彼らは自分の行動が黙認されることを通じて”Winners take all.”という言葉は正しいと考えるようになりますが、”winners”であり続けることは彼らの精神状態に大きな負担をかけますし、思考のあり方をこれからの社会を支えるのに好ましくない形にしてしまうというのがその理由です。
最近、社会人になったOBOGと話す機会が多くあるのですが、そこでよく出てくるトピックの一つが企業がAIをどのように活用しているかというものです。例えば、あるOBが勤務している工業製品や食品などの流通に関係する企業では、近いうちに注文や在庫の管理を全てAIが行い、商品の搬出入に関わる作業をロボットに任せることで、倉庫の運営に関する業務をほぼ全自動化するシステムを導入するそうです(大手の企業の中にはこのようなシステムを実際に稼働させているところもあると聞いています)。このようにAIを何らかの業務を行わせるために導入する動きは広く見られるようですが、これは企業経営に関わるコストを最小化することにつながる一方で、AIに代替されたものを担当していた人の雇用は失われます。
オックスフォード大学の研究者が2013年に公表したレポートなどでは、企業におけるAIの導入により約50%の雇用がなくなると予測されており、その多くはAIには対応することが難しい人間社会で見られる複雑なコミュニケーションを必要としないものだとされています。このような話を聞くと、人間が必要とされなくなる仕事は単純な事務作業や肉体労働だけであり、社会的評価の高い大学を出た人の生活には影響がないと思われるかもしれません。しかし、雇用が減少するものの中には、銀行で融資を担当する人のように一世代前には社会的なエリートが就くとされていたものや、会計士や税理士、弁護士のように厳しい試験に合格しないと資格が取得できないものまで含まれるという見方もあります。
もともと2000年代に入ってから経済のグローバル化が進行することによって富が一部の人に偏在するようになったと言われてきましたが、それにここまで述べてきたようなAIの普及によって生じる影響が加わると、短期的には”winners”になるための競争は激しくなると思われます。そして、そこから弾き出されてしまう人にはこれまでであれば安定した生活をしてきた層が含まれる可能性が高く、そのような状況において人々が取れる生存戦略の一つが「お互いを支え合うことができる仲間を作ること」です。しかし、”Winners take all.”という考え方が定着してしまっている人は他人と自分が所有している様々な資源を共有することを受け入れることが難しく、上で述べたような環境の変化に適応していくことができなくなります。このようなことを考えると、一般的に競争状況と捉えられる大学受験の段階においても”Winners take all.”が適当な態度であるというメッセージを送ることは厳に慎むべきだと思います。
さて、今週の個別指導や個別面談についてですが、東京23区やその近郊で新型コロナウィルスの感染者の減少ペースが鈍化しており、一部ではリバウンド傾向が見られるという声もあります。そのため、公共交通機関を使って教室に来る場合には、ターミナル駅を使わないのであれば対面で、この条件を満たせないケースではzoomなどを使ってオンラインで行うことにします。よろしくお願いいたします。
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3月29日から4月2日までの個別指導などについて―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 149―
(2021年3月29日 18:45)