こんにちは。SOLの余語です。
3月15日に掲載した記事では、帰国生入試やAO入試において第一志望の大学に合格した後も受験を続ける(これらの入試では社会的な評価の高い首都圏の私立大学のものが最も早い時期に行われますので、このようなことが起こります)ケースが見られることを大手の予備校や塾が黙認していることについて、日本では若い人の自己肯定感が低いものになっているという観点から問題であるということを述べました。自己肯定感や自尊心の低下によって新しい物事に取り組む積極的に取り組む姿勢が見られなくなるという傾向が様々な調査から確認できますが、そのような人が増えていくことは社会の持続可能性を考えても望ましいこととは言えないと思います。
さて、帰国生入試やAO入試では英語運用能力試験の成績が高い人が有利になる現状があるという状況において、このような人が第一志望とする大学に合格した後も受験を続けることを許してしまうということは、彼らにこの社会は”Winners take all.”というルールに基づいて動いているというメッセージを送ることになる可能性があると僕は考えています。現在の日本には「どのような場面においても競争原理を働かせることで最善の結果が得られる」ということをまだ本気で信じている人がかなり多くいるようですので、「そのようなメッセージが送られることに問題があるのか」と言われてしまいそうですが、それを受け取る人の中には「これからずっと勝ち続けていかなければならない」という強迫観念に捕らわれることから強いストレスを感じる人が少なからずいると思います。
僕がこのように考える背景には、これまで様々な生徒に接する中で蓄積してきた経験だけでなく、一昔前の小説や映画には学歴などの点でエリートとされる人が人生を好きなように生きている人に出会うことで自分の心身が上で述べたようなストレスによっていかに疲弊したものになっていたかということに気付かされるという内容のものが多く見られることにあります(その一つが『男はつらいよ』という作品で、その主人公で日本の様々な場所を放浪している「寅さん」に映画の中の他のキャラクターだけでなく、それを見た多くの大人も癒されていたようです)。長い人生において挫折やトラブルに直面したり目標を見失ってしまったりすることは誰にでもあることだと思いますが、そのような状況でそれまでに貯め込んできたストレスが一気に噴出して、物事に積極的に取り組む姿勢が見られなくなってしまったという話もよく聞きます。
また、高い学力を持つ人が自分の地位を維持しようとすることで生じるストレスを抱えながら生きることは社会全体という観点からも望ましいとは言えません。なぜなら、彼らは現代社会で見られるこれまでに人々が体験したことのない問題を解決しようとする試みにおいて大きな役割を果たすことが期待されるはずですが、精神的な負担は彼らの自由な思考を妨げることが多いですし、中には日本の官僚などの問題点と指摘されることのある「正解主義」的な思考が定着してしまい、単なる前例踏襲主義的な決断を多くの場面でしてしまう人も出てくるからです。このような点まで踏まえると、どのような人にであれ”Winners take all.”という考えが正しいと取れるメッセージを送ることはできるだけ避けるべきだと思います。
さて、今週の個別指導や個別面談についてですが、国の緊急事態宣言は解除されたものの、東京23区とその近郊では新型コロナウィルスの新規感染者についてリバウンドの傾向が見られるという報道があります。そのため、公共交通機関を使って教室に来る場合には、ターミナル駅を使わないのであれば対面で、この条件を満たせないケースではzoomなどを使ってオンラインで行うことにします。よろしくお願いいたします。
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3月22日から3月26日までのグループ指導について―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 148―
(2021年3月22日 18:40)