TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(13) ―英語学習の勧めvol. 182―

(2021年2月24日 18:10)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験のReadingで出題される文章を速く正確に読んでいくために必要な文法の理解度を高める学習について、どのようなケースでそのような取り組みが必要になるかを確認しました。その上で、英語圏のネイティブの中には、教員の資格を持っていたとしても、英文法を英語を母語としない人が理解しやすい形で教えることができない人が多くいることに注意すべきだということを述べました。

この点、仮に海外の滞在している地域にある語学学校に大学などで語学学習に関する専門的な学びをしてきた英語圏のネイティブを見つけられたとしても、そもそも英語と言語的な距離が大きい日本語を母語とする人が英語の文法を英語を使って学習することが内容に対する理解や定着の観点から効率的であるとどのような学習者を対象としても言えるかどうかには疑問が残ります。例えば、ジーニアス英和大辞典で例文として使われている

The person who parked that car has no manners at all.

という文のwhoは「関係代名詞」と日本の教科書などでは呼ばれており(英語で言うとa relative pronounとなります)、このようなカテゴリーに分類される語には他にwhich、whom、whose、thatなどがあります。これらの語の用法についてインターネット上にある英語圏の文法に関するサイトでは以下のように説明されます(説明が最も簡潔で理解しやすいと考えられるものを選びました)。

A relative pronoun is used to connect a clause or phrase to a noun or pronoun. The clause modifies, or describes, the noun. The most common relative pronouns are who, whom, whose, which, and that. (https://grammar.yourdictionary.com/parts-of-speech/pronouns/relative-pronoun.htmlより抜粋)

多くのサイトでは、このような説明の下に「関係代名詞」が使われている例文が続くのですが、そのような構成が採られていたとしても上の文を日本語訳した以下のようなものの方が、「節」(基本的に文を指します)や「句」(2語以上で構成され一つのまとまりとして機能するものです)、「修飾」(何かの様子や性質を説明することです)といった専門用語が入っているとしても、理解しやすいと感じる人は少なくないのではないかと思います。

関係代名詞は節や句を名詞や代名詞に接続するために使われる。その節は接続された名詞を修飾、もしくはその様子を説明する。最もよく使われる関係代名詞はwho、whom、whose、which、そしてthatである。

英文法のルールを英語で説明された場合、そこに出てくる単語の意味が理解できなければその分伝わってくるものが少なくなりますし、文法についての理解を深めたり定着を図ったりするための学習が必要な段階では説明として提示された文の内容を誤解してしまう可能性が高いものになります。「そのようなことを考えて、テキストなどには例文が入れてあるのではないか」という声もあるかもしれませんが、いくつか文を示されただけでルールそのものを十分に把握できるというのは、英語を使った経験が豊富にある人か、頭の中で様々なことを整理し、それを他の場面で使うことを想像できる能力が例外的に高い人を除いては難しいことなのではないかと思います。

このようなことを考えると、学問的な文章を速く正確に読むために英文法の学習を必要とする場合には、少なくともある段階まで英語ではなく日本語を使って学ぶ方が、日本語を母語とする学習者にとって理解も十分なものになりやすく負担も軽減されるということになりそうです。この点、アメリカの日本人が多く住む地域には、日本語で授業ができる英語圏のネイティブの家庭教師グループがいて、彼らに教わった人は英語運用能力の向上に成功することが多いという話を聞いたことがあります。このような話も今回論じた内容の正しさを裏付けているように思います。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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