こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、京都大学で実施される外国学校出身者のための選考の特徴をお知らせしました。この大学には独特な発想に基づいて研究を行う教員が多いという印象がありますが、学生にとっても個人的に関心を持ったテーマを自由に追究する環境があるようです。帰国生を対象とした入試では出願手続き時に提出した書類の内容とともに、日本語の読解・論述試験の出来が合否に大きな影響を与えます。過去問を「赤本」で入手することができますので、受験を考えている人はそれを用いるなどの形で受験に向けた準備を進めましょう。
さて、今回は東京大学の外国学校卒業生特別選考(2種)を取り上げます(この入試には2つの種類があり、「1種」は外国人留学生を対象にしたものです)。説明の必要はないかもしれませんが、この大学も京都大学と同様に幅広い学問分野をカバーした総合的な国立大学であり(改めて入試要項などを見ると、文学部には「インド哲学仏教学」、「イスラム学」、「スラブ語スラブ文学」というような他大学ではあまり見ることのできない研究分野があります)、多くの著名な研究者を輩出しています。各学部にそれぞれの学問領域で高い評価を受けている教員が揃っていますし、どの科類に入学しても3年次から教養学部のような学際的な研究活動が行うところで学ぶことを選択できるのも大きな魅力だと思います。
帰国生を対象としたこの入試では、3段階の審査で合否が決まります。第1段階である書類選考では海外の大学入学資格を取得するための統一試験(もしくは最終試験)の成績(入試要項では「任意」となっていますが、合格した人で提出していない人はいないと思われます)に加え、TOEFL iBTもしくはIELTSのスコア(後で述べるように外国語試験を多くの言語で受けられるのに書類選考の時点では英語運用能力試験のスコアだけが審査の対象となる理由はよく分かりません)を提出が求められます。
もちろんこれらが高い水準のものであることが望ましいことは言うまでもないことですが、海外の教育機関で学んでいる間に一般的な日本の高校生があまり参加しないような社会的な活動に積極的に関与し、そこで自分なりに考えたり学んだりしたことがあるということを志望理由書でアピールすることも重要です。例えば、SOLのOBOGで少なくとも第1次審査を通過した人の中には、滞在していた州の政府の援助を受けながら高校の周りで大規模な植林活動をした人や、ヨーロッパである楽器の演奏者として高い評価を受け様々な国でコンサート・ツアーを行った人などがいます。
文系学部の第2次審査では、小論文試験と外国語試験を受験することになります。前者では日本語で小論文を書く問題が1つ、自分が選択した外国語で書くものが1つ出題され、そのテーマはそれぞれの科類で学ぶ学問に関連したものであるものの、他の大学とは違い参考となるような文章はありません(文化Ⅰ類の昨年度の問題は図表を伴った形になっていました)。そのため、問題の条件に合った具体的な社会現象や事件などを自ら提示しなければならず、多くの本を読むことによってそれに必要な知識を蓄積しておくことや、一つ一つの学問の基本的な考え方に関する理解を深めておくことが重要になります。
また、外国語試験について僕らには英語で受験する人の指導経験しかありませんが、一般入試と同じ問題が出題され、知っている人が少ない単語や表現が多く見られるということはない一方で、長文読解や英文和訳、文法の確認問題、エッセイなど様々な角度から外国語運用能力を測るという形式になっています。こちらは過去問を「赤本」で入手することができますので、自分の苦手とする問題形式などを早めに確認し、それに合わせた対策を行うようにした方がいいと思います。
第3次審査の面接試験の対策としては、志望理由について様々な角度から考察を深めておくのが必要になりますし、小論文試験の答案に書いたことに関しての確認に対してどのような形で答えるかを事前にある程度考えておいた方がよいでしょう。このようなことのサポートをきめ細やかにしてくれる学習環境を受験準備を行う場として選ぶようにしてください。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
東京大学の外国学校卒業学生特別選考(2種)について ―帰国生大学入試についてvol. 288―
(2021年2月19日 18:25)