2月15日から2月19日までのグループ指導について―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol. 141―

(2021年2月15日 18:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、生まれ育った家庭の経済状況やこれまでに築いてきた人間関係、中学校や高校において参加した社会的な活動などの違いによって、18、19歳といった年頃の人が見せる小論文試験で取り上げられるトピックの重要性に対する理解や、それを育むために周りの人が取るべきアプローチが異なるものになるということを述べました。このようなことを考えると、帰国生入試やAO入試を受験する人が学ぶ環境には教師が彼らの様々な側面を理解できるような条件が揃っていなければなりません。

さて、これらの入試の小論文試験に向けた準備では、受験する学部・学科で取り上げられることの多い学問的なトピックだけでなく、それとあまり関係のなさそうなものまで理解を深める必要があります(早稲田大学のように複数の学部・学科で同じ問題を使うところがありますし、人文科学系の問題文を好んで出題する社会科学系の学部がある大学もあります)。また、添削された答案に書かれたコメントを踏まえて何度も書き直しをすることで、自分の考えやその説明で不十分な点を補うこと、そして適切な文章の構成や日本語の表現を習得することは学習における重要な過程の一つです。

TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験の対策についても、学問的な文章を読み書きする際の基礎となる語彙を蓄積したり文法事項を確認したりするのには時間がかかりますし、それらを実際の試験で活かせるものにするには問題演習を重ねていくことが求められます。また、これらの試験のwritingでは、自分の考えを相手に伝える際に適当とされる型を身に付けておくことが高いスコアを取ることにつながるため、小論文試験に向けた準備と同様に、添削された答案の書き直しを行っていくということになります(speakingも型に関しては同様で、型を意識して繰り返し練習することが有効な対策です)。

このように様々な学習課題に取り組まなければならない場面では、より充実した成果を収めるために学習者一人ひとりが学ぶことに対して積極的な姿勢を取れていることが望ましいはずです。若者の学習意欲については、これまで多くの研究や調査がなされており、例えば社会学者の苅谷武彦氏は学習意欲の強弱は個人の内面的な問題だけでなく、家庭環境のような外部的な要因によっても決定されるという立場を取っています。そして、僕らが教室で実際に接する生徒も学習に対する姿勢は個人による違いがあり、その背景も人によって異なります。

このところ僕らが耳にすることが増えたと感じる話は、中学受験で目標を達成できなかったことで自信を喪失し、その後中学校や高校での学びに前向きな形で取り組むことができなくなってしまったというものです。高い社会的評価を受ける学校に合格した場合でも、それが自分にとって本当に価値のあることであるという実感がない中で厳しい受験競争に巻き込まれ精神的に大きな負担がかかる形で日々を過ごしてきたことで、学ぶことにネガティブなイメージが付いてしまったというケースも見られます。

また、これまでの生活のあり方の全てを周りの大人が先回りして決めてきたために、大学受験についても「他人事」のような感覚を持ってしまっているという人がいる一方で、海外に単身で留学してきた期間で自立性を育んできたのに自分の将来という問題に関して干渉されることに苛立ちを感じたり嫌気がさしたりしている人もいます。SOLの教室で学んだ人の中には、上で述べた中学受験の時期に保護者と衝突し、その影響で「両親の喜ぶことはやりたくないので勉強もしたくない」という考えを持つようになった人もおり、彼らは僕らが授業中にする話を熱心に聞いてくれるものの、小論文の答案の作成などには常に消極的な姿勢を見せることがありました。

帰国生に特有の問題として挙げられるのは、英語の学習に対する意欲のあり方が人によって様々であることで、意欲があまり感じられないというケース(どこまで本気かは分かりませんが、「二度と英語とは関係を持ちたくない」と言う人も少なくありません)では、自分の母語ではない言語に取り囲まれる環境に突然入ってしまったことで精神的に混乱した、もしくはいくら学習しても授業の進度に追いつくことが難しかったり英語運用能力試験のスコアが上がらなかったりするという状態からなかなか抜け出せないといった体験をしていることが多いようです。表現したいことを周りに伝えるための能力が海外に渡航する前に予想していたよりも遅いスピードでしか身に付かないことに失望感を抱いたという話も毎年必ず聞きます。

このように、学習に対する意欲が弱いものである場合でも、その対象によって状態が大きく変化することがありますし、その背景にあるものは人によって異なります。そして、帰国生入試やAO入試で満足できるような結果を出すために必要な積極性を一人ひとりの学習者から引き出すには、彼らがそのような状態に至ったプロセスに合ったアプローチを採らなければなりません。そのような意味でも、SOLの教室のように僕らが生徒の様々な側面を知ることができる環境は大きな意味を持っていると言えると思います。

さて、今週のグループ指導についてですが、東京23区やその近郊で新型コロナウィルスの感染者が増加するペースは1月下旬から大幅に鈍いものとなりましたが、国の緊急事態宣言は3月まで延長されるなど、警戒すべき状況は続いているようです。ただ、現在、教室で受験準備を続けている人は教室の周辺に居候先がありますので、これまでと同様の形で授業を行いたいと考えています。また、個別指導や個別面談は、公共交通機関のターミナル駅を使わずに教室に来ることが可能な場合は対面で、この条件を満たせないケースではzoomなどを使ってオンラインで行うことにします(日本時間の月曜日から金曜日、9時半から19時半の時間帯であれば、海外からのものでも対応することができます)。よろしくお願いいたします。

【個別面談お申込みフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form2.html

それでは、帰国生大学受験セミナーのグループ指導の内容や日程などに関して情報をご希望の方は以下のフォーム、もしくはinfo@schoolofliteracy.comよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。

【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/

トップへ戻る