こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、首都圏の国立大学の中では最も早い時期に実施される横浜国立大学経済学部の外国学校出身者選抜の特徴をお知らせしました。この入試は主に書類審査と小論文試験で合否の判定がなされますが、例年大手の予備校が2月に実施される難関国立大学の「模試」として受験することを奨励しているために書類審査で高い水準のものが求められる傾向があります。受験を考えている人は、まずは大学入学資格を取得するための統一試験などの成績を高めることに注力しましょう。
さて、今回は同じ大学の経営学部の帰国生徒選抜を取り上げたいと思います。この学部では前回の記事で紹介した経済学部と同様に、国立大学では広く見られる少人数制の授業が多い体制になっていることはもちろんですが、経営学を専門的な形で学ぶことのできる国立大学の中では数少ない場であることをアピールポイントとしており、専門的な内容を扱う授業をいくつかのグループに分け、その中で自分が専攻としたいものを体系的に履修できるようなカリキュラムを採用しています。また、「マイ・プロジェクト・ランチャー」や「YNUビジネスプラン・コンテスト」と呼ばれる実践的なプログラムをかなり早い段階から取り入れているだけでなく、実際に企業の経営者に話を聞く機会も多くあるようで、SOLのOBOGからの評判も良いものになっています。
この入試は小論文試験と面接試験の出来で合否の判定がなされますので、英語運用能力試験で高いスコアを取ることが難しい中国や台湾など非英語圏の現地校を卒業した人でも合格可能性がありますし、今年から保護者の転勤などによって海外で生活した人だけでなく、中学校や高校から単身で留学した人にも出願資格を与えるようになりましたので、これまでよりも門戸を広く開いたと言えると思います。ただし、2月に実施される国立大学の受験を考えている人に大手の予備校などが「模試」として受験することを勧めているという点は経済学部と変わりませんし、例年、受験生が多い割に合格者の数を絞ってきますので、受験に向けた準備は入念に行うべきでしょう。
なお、小論文試験では経営学や経済学に関する文章が2つ出題され(一つは抽象的で学問的な内容のもの、もう一つは時事問題に関する比較的読みやすいものが出題されることが多いです)、それに2問ずつ読解・論述問題が付いているという形が定型になっているようです。全ての問題を合わせると答えがかなり多い字数になる年もありますので、多くの文章を読みその内容に関する読解問題を解くという経験を蓄積するという形で準備を進めていくのが望ましいと思います。また、経営学を扱う学部や学科を受験した人からよく聞くのですが、この学問分野の研究者には普通の人ではなかなかできない体験(例えば、参加者の多いスポーツ大会で優勝した、もしくは日本人があまりいない国や地域に住んでいて珍しい体験をしたといったことです)をしたということが強いインパクトを与えるようで、筆記試験で一定の水準を満たした上で面接試験においてそのような話ができれば合格可能性が高まるという傾向が見られます。受験を考えている人はこのような点を踏まえて面接試験で話す内容を考えておきましょう。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
横浜国立大学経営学部の帰国生徒選抜について ―帰国生大学入試についてvol. 284―
(2021年1月22日 17:25)