慶応義塾大学の帰国生入試について ―帰国生大学入試についてvol. 265―

(2020年9月4日 11:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、帰国生が多く受験する入試の中では実施される日程が最も早いものである早稲田大学の帰国生入試や政治経済学部のグローバル入試の特徴や受験準備を進める際の注意点を説明しました。それぞれの入試で求められていることが異なりますので、それに合わせた対策を取ることが重要です。

さて、今回は前回紹介した入試と同様に、例年早い時期に行われる慶應義塾大学の帰国生入試を取り上げたいと思います。この入試では、今年度からカナダの教育制度で学んだ人は出願資格を得るためにアメリカの統一試験であるSATの受験が求められることになりました。自分が学んでいる高校のカリキュラムがどのようなものであるかに関係なく、一定の学力と英語運用能力があれば対応が可能なReasoning Testに合わせて、Subject Testsの2もしくは3科目の成績を提出しなければならないということですので、カナダの高校に単身留学している人にとっては合格するのが厳しい状況になってしまったと思います。

ほとんどの文系学部では、合否の判定は主に提出した大学入学資格取得のための統一試験の成績やTOEFL iBTもしくはIELTSのスコアといった出願手続き時に提出した書類の内容に基づいて行われます(面接試験もありますが、学びたいことと学部が提供しているプログラムの間にミスマッチがあったり、その資料とされる参考小論文の内容が破綻したものになっていたりするといった問題がない限りは大きな影響を与えることはありません)。そのため、僕は今年度の入試は新型コロナウィルスの感染拡大の問題に対応するために2次試験をzoomなどでのオンライン面接のみにするのではと思っていましたが、今のところ、文学部とSFCの2つの学部以外は試験実施のあり方に大きな変更はないようです。

なお、各学部でどのような教育課程やテストにおいてどれくらいの成績を修めていれば合格することができるのかということについての目安は、小論文の出来や受験生が受けてきた学校教育や海外生活の経歴といった様々な要素を踏まえない形の単純な統計処理だけで明らかになる場合が多いので、実際に授業や小論文の添削を行う人とは別な職員が進路指導を担当している大手の予備校や塾でも正確な情報を入手できると思います。ただし、法学部では小論文試験が書類審査と合わせて実施されており、他の学部で要求されている水準より低いスコアや成績を提出した人でも、その試験でしっかりとした小論文を書くことができた場合に合格することがありますし(例えば、SOLの生徒では、カナダのブリティシュコロンビア州で以前実施されていたProvincial ExamのEnglish 12をギリギリのスコアで合格し、TOEFL iBTのスコアが80だった人が政治学科に合格しています)、文学部では参考小論文において大学で学ぶのに必要な日本語運用能力があるかどうかが確認されるようです。

出願手続き上の注意点は、前回紹介した早稲田大学の2つの入試と同じで、SATやTOEFL iBT、IELTSのスコアが正式に認められる期間が定まっているということです。来年度以降にこの入試を受ける可能性がある人はこれらのテストに向けた準備や受験についてしっかりとしたスケジュールを立てて行動するようにしましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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