TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(6) ―英語学習の勧めvol. 175―

(2020年9月2日 12:35)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験のリーディングテストで出題されるような文章を速く正確に読むためには、意味が理解できる語彙の数を増やすことが重要であるということを述べました。単語の意味を覚えていく際にかかる負担を軽減するには、一つ一つのものを語頭、語幹、語尾に分けてそれぞれの意味を確認するという学習法が考えられますが、それでもその対象になるものはかなり多くなります。

そして、上のような学習を進めていく中で注意しなければならないのは、英単語には多義語が多く存在するということです。英語で多義語と言うとmakeやget、go、comeといった使用頻度が高い基礎的なものを想像する人が多いと思いますが、それだけに限定される訳ではありません。例えばaccommodateという単語には、この言葉が名詞になったaccommodationから予想がつくであろう「宿泊させる」、「収容する」というようなものの他に、「適応させる」、「和解させる」といった意味があります。また、bearにも、文章の中で目にする頻度が高いものだけでも、「運ぶ」、「支える」、「耐える」、「産む」というような、日本語にしてみると一見それぞれのつながりがよく分からない多くの意味があるのを英和辞書などで確認できると思います。

もちろん、英語を母語としている人はこれらの意味を別々なものとして記憶しているのではなく、様々な意味のつながりを説明することができる一つのイメージを用いて日々のコミュニケーション活動を行っていると考えられます(そうでないなら、彼らが文章を読んだり、発話したりするスピードは、我々が彼らと時間を共にする中で実感するものよりかなり遅くなるはずです)。日本語を母語とする学習者でもこのようなイメージをある程度再現することは可能ですが、中には関連性をうまく想像できないものがありますし、英語母語話者が一つ一つの単語に対して持つイメージを学ぶことのできる教材があるものの(例えば、bearには「人が何かを持って運んでいる」というイメージがあると説明されます)、重要な単語全てをカバーしているものは今のところ出版されていません。

その上、英語には時間が経つにつれて単語のスペルが簡素化されたり発音が変化したりする現象が見られますし、元々ドイツ語やスウェーデン語と同じゲルマン語系の言語であったところに、ギリシャ語やラテン語、フランス語由来のものが多く流入した結果(特に、ラテン語系統の言語の影響は大きく、よく使われる単語の80%を占めていると言われています)、スペルは同じであるものの語源が異なるために関連性が全く分からない意味で使われるものも存在します。例えば、lightという語には「光」だけでなく「軽い」という意味がありますし、bankはラテン語由来の「銀行」という意味で用いられることが多い一方で、ゲルマン語の語源から来た「土手」、「岸」という意味で使われる場合もあります。ほとんどの英和辞書は同じスペルでも語源が異なるもの一つ一つに項目を立てるという形を採用していますが、このような単語の意味を総合的に捉えるには、上で述べたような「中核的なイメージをつかむ」という学習法は通用しないということになるため、辞書の中の複数の項目に目を通さなければならなくなる場合があるのです。

それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

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