上智大学の海外就学経験者(帰国生)入試について ―帰国生大学入試についてvol. 267―

(2020年9月19日 15:45)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、国際基督教大学(ICU)のユニヴァーサル・アドミッションズ4月入学帰国生入試の特徴について述べました。この入試の合否判定では受験生の様々な側面が評価の対象となるため、その基準については明確なことが言えないのですが、多くの学問的な問題に積極的な姿勢で考察を深められる人が好まれるのは確かです。日々の生活や受験準備の中で自分の知的な好奇心を「開いた」ものにすることが重要だと言えるでしょう。

さて、今回はICUと例年ほぼ同じ日程で実施される上智大学の海外就学経験者(帰国生入試)を取り上げたいと思います。この大学では、現在、総合グローバル学部が人気を集めているようですが、もともと外国語学部や文学部、総合人間科学部の一部の学科のような人文科学系の学部・学科が少人数制を採用しており、教員の生徒に向き合う姿勢も積極的である一方で、社会科学系の学部・学科は大人数制の授業が多い上に授業内容に対する評判もそれほど高い訳ではないため、僕らも主に外国語や文学、哲学、社会学などを学びたい人に受験を勧めています。

海外就学経験者入試を受験する場合には、英語やドイツ語、フランス語、スペイン語といった欧米系の外国語運用能力試験のスコアや成績を提出することになっており、英語圏以外の国や地域のカリキュラムで学んだ人でも受験ができる一方で、出願資格を得るには一つ一つの学部や学科が設定した水準を超えていることが求められます。また、このスコアや成績を最終的な合否判定においてどれだけ重視しているかも学部・学科によって異なっており、総合人間科学部心理学科や法学部国際関係法学科のように上で述べた水準を超えたものが必要になる学科もあれば、外国語学部英語学科のように一般的に想像されるよりは高いものを要求しなかったり(この学科では日本語運用能力も重要だと考えられているようです)、文学部哲学科や総合人間科学部社会福祉学科のようにあまり考慮しないという姿勢を見せたりするところもあります。

【出願資格を得るのに必要な外国語運用能力試験とその成績の一覧表】
https://www.sophia.ac.jp/jpn/admissions/gakubu_ad/itd24t0000004ahy-att/P20.pdf

筆記試験も各学部・学科が学力のどのような側面を重視しているかということを反映しており、出題形式や問われる内容もそれぞれで違ったものになっています。以前の記事でも述べましたが、小論文試験がある学部・学科ではそこで扱われている学問領域に関連した文章が出題され、中には高校3年生くらいの年頃の人にとってはかなり専門的と感じられるものを読むことを求めるところがありますし、答案の作成に十分な時間が与えられない学科も見られます。この入試を受験する場合には、7月中旬までに受験する学部・学科を決め、そこで学べることに関連した本などを読んだり、過去問(大学のHPから過去3年間に出されたものを入手することができます)やそれに類似した問題を解いたりといった形で学習を進めていくのが望ましいでしょう。

この入試の面接試験は、そこで話した内容が合否の判定に影響を与える学部・学科がありますし、生徒から聞く話によれば就職試験でよく見られるような「圧迫面接」を行うところもあるようです(これは受験生の間で有名なことであるらしく、毎年、受験準備を始めた段階の生徒が心配そうな顔をして質問しに来ます)。面接の内容が厳しいものになるかどうかはその時の試験官の顔ぶれにもよるようなので、受験生としてできることは志望理由など試験の中で訊かれそうなものについてどのようなことを答えるかについてじっくりと検討しておくということだけになりそうです。

出願手続きで注意すべき点としては、海外の高校での在籍期間証明書について大学所定のフォーマットがあり、それを使ったものでないと大学の入試事務局から再度作成するように言われてしまう可能性があるということになります。大学のHPからダウンロードできますので、日本に帰国する前に作成してもらうようにしましょう。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html

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