こんにちは。SOLの余語です。
前回までの3つの記事では、TOEFL iBTやIELTS、TOEICといった海外の高校で学ぶ人が受験することの多い英語運用能力試験のリーディングテストで出題される文章や問題の特徴を説明しました。難易度には違いが見られるものの、いずれのテストでも語数の多い文章を速く正確に読んでいく能力が求められますので、対策学習においてもそれを身につけることを目標とすべきです。
さて、上で述べたような力を支えるものはいくつか考えられますが、語彙・表現の意味に関する知識がその一つであることは誰もが認めるところだと思います。一つの文に意味が分からない単語や表現が多くあればあるほど、その内容を正しく理解できる可能性が低くなりますし、そのようなものが一つしかない場合でもそれが致命的な形で理解度を低減させてしまうケースも考えられます。また、仮に他の文の内容や自分の持っている知識などから意味を正しく推測することができたとしても、その作業に一定の時間を取られてしまうことで制限時間内に文章全体の内容を把握することが難しくなることがあるでしょう。
それに加えて、ある調査では人間は一つの文章内に意味の分からない単語が全体の2~3%でもあるとストレスや強い不安感を感じるという結果が示されており、これは文章を読むという作業の効率を下げてしまったり、その内容を全体として理解しようという意欲を削いでしまったりすることにつながります。これらのことを踏まえると、今までに取り上げたような英語運用能力試験を受験する際には、事前にできるだけ多くの単語や表現の意味を学んでおくことが求められているということになると思いますが、この点、SOLの教室で実際にTOEFL iBTを受験している人に英語圏で最もよく使われる7000語のうちいくつの意味が分かるかを診断するテストを受けてもらったところ、(サンプル数は少ないものの)Reading Sectionのスコアが23を超える人はその95%以上のものを理解でき、スコアが下がっていくにしたがって正答率も低下していくという傾向が見られました。
一般的に、TOEFL iBTやIELTSのリーディングテストで高いスコアを取るには、語彙に関して12,000~15,000語の蓄積が必要だと言われますし、それよりも日常的な語彙が使われることの多いTOEICのReadingでも10,000語くらいの知識があることが望ましいという記事を目にすることがあります。もちろん、この中には例えばinhabitableのように、ある単語(上の例で言うとhabit)の語頭(in)や語尾(able)に意味を変化させるものが付いているものも含まれており、語幹と呼ばれる真ん中に置かれるもの(habit)の意味が分かっていれば単語全体についても推測できる場合もあります。しかし、語幹になるものを記憶することを中心に学習を進めた場合でも、その対象は4,000~5,000個なりますし、語頭や語尾に付くものの用法はそれが使われているのを多く目にする中で学んでいくものです(このようなものの用法をまとめた本もありますが、多くのものをカバーした本格的なものは情報量が膨大で、根気強い人でないと最後まで読み通せるものではありません)。
以前から指摘しているように、日常的な会話のほとんど(音声で発話されるものの80%)は500語、書かれた文章の中で一般的な人が目にするもの(本や新聞の形で発行されたりインターネット上に掲載されたりしたものの80%)は2,000語で構成されているので、日々の生活で英語を使っているだけではTOEFL iBTやIELTS、TOEICを受験する際に求められているものを十分に習得することはできません。そのため、これらの英語運用能力試験で高いスコアを取るには、語彙や表現に関する意識的な学習を行わなければならないということになるのです。
それでは、TOEFL iBTやIELTS、TOEICなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(5) ―英語学習の勧めvol. 174―
(2020年8月19日 10:25)