受験する大学や学部・学科の選び方について(17) ―帰国生大学入試についてvol. 262―

(2020年8月14日 12:05)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、「大学で何を学びたいのか」を考える際に、ボランティア活動などに参加することによって自分と異なる生活の状況の中で生きている人と交流する体験を蓄積することが果たす役割について説明しました。海外の高校でも生徒が社会的な活動に参加するのに消極的なところは多くありますので、そのような場合には新型コロナウィルスの感染拡大が収束した段階で、生徒本人だけでなく保護者や留学エージェントから何らかの働きかけをすべきだと思います。

さて、ここまで日本の大学の帰国生入試やAO入試を受験するにあたって、受験する大学や学部・学科を選ぶ際には、「自分が大学で何を学びたいのか」ということをじっくりと検討すべきということを述べてきました。このようなことを考えることは、大学受験に向けた取り組みを「他人事」としないことによって強い学習意欲を引き出すことにつながるというのが上で述べたような考えを取る理由の一つですが、現時点で日々の学習に意欲的に取り組めているという人でも、特に4月入学者を対象とした入試では小論文試験のような入試日に実施される筆記試験の出来が重視されるところが多いため、その日の精神的、身体的なコンディションなどが関係して良い結果が出ないということがありえます。このような厳しい状況を乗り越えていくには、学習意欲が一定の強度を保ったまま長い期間持続するようなものであることが必要で、それは自分の学問的な関心がどこに向かっているのかについて時間をかけて考えていく中で生み出されるものである場合が多いようです。

また、日本では以前から大学入学後に学習意欲が持続しない人が多く見られるということが指摘されており、大学側もそれに何らかの形で対応しようとしているという記事を今でもよく見かけます(早稲田大学がAO入試を重視するようになってきている背景にもこの問題があるようです)。しかし、今回の新型コロナウィルス問題での政府の対応を評価する文章の中で度々見られるように、これまでに経験したことのないような問題に対応する時には、自分でしっかりと資料を集め、それを基に策定したいくつものプランからその時々の状況に合ったものを選択した上で、なぜそれが現状でベストだと考えられるのかということを明確な形で他人に説明できる能力が重要な役割を果たします。これからの日本はグローバル化や少子高齢化などによって社会で様々な問題が生じる可能性が高いと思われますが、それを克服するには社会を構成する人々の多くが上で述べたような力を持っていた方がよいでしょう。

この点、所属する学部や学科がどのようなものであれ、大学での学びに真剣に向き合っていれば高い問題解決能力を身につけることができるはずで、そのような状況を実現するのにも学生が長い期間持続する強い学習意欲を持っていることが求められることを考えると、大学受験の準備をする段階で時間を「自分が何を学びたいのか」ということをしっかりと検討することが必要になるでしょうし、大学入学後に社会的な体験を蓄積した結果、学問的な関心が向かう先が変化していることを感じたとしても、そのような過程を一度踏んだ人であれば確信を持った形で判断をすることができると思います。

それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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