こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、「大学で何を学びたいのか」を考えるなど、帰国生入試やAO入試の受験準備を行う上で必須なものである読書について、学問的な文章を読み始めた時に時間がかかったり理解できないものが多かったりすることに戸惑いを感じる人がいるということを述べました。読んだ本から吸収できるものが少なくてはあまり意味がないでしょうから、このような問題に直面しても目の前にあるものにじっくり取り組むべきですが、読み進めることに過度な負担を感じる場合には周りにいる大人に助けを求めるようにしましょう。
さて、これまでの記事で説明してきた過程を経て自分の学問的な関心が向かう先を明確なものにできたら、その後にどの大学でそれを学ぶことができるのかということを確認することが必要になります。例えば、将来、貧困な生活の中で十分な教育を受けることができない子どもの支援をするNPOで活動したいと考えていて、経営学を学ぶことでNPOのような非営利団体が継続的な活動をしていく際に抱える多くの問題をどのように解決できるのかということについて考察を深めていきたいと考えていたとしても、全ての大学の経営学部や商学部で公共の利益のために活動する団体の経営というテーマを扱っている訳ではありません。
ここで、どの大学でそのようなことが学べるかを確認するステップを省いて出願してしまった場合、面接試験において志望理由書を見た試験官から「この大学では公共的な団体の経営について学ぶことはできないが、それでもいいのか」というような答えに窮する質問をされることがあり、その問いかけにうまく対応できないことが合否の判定に悪影響を及ぼす可能性が(特に、面接試験での受け答えが一定の重みを持つ入試では)あります。このようなことを踏まえると、受験候補の大学に自分が学びたいことをテーマとしている授業があるか、それに関心を持っていそうな教員がいるかということを確認するのは重要だと言えるでしょう。
この点、受験する大学を決める際の上で述べたようなプロセスにおいて、大学が公表しているパンフレットを判断材料として活用することが考えられますが、これまでにも述べてきたように、そのような資料には明確な説明がないことが多いですし、面接試験の段階でパンフレットに記載されていた授業などが存在しないことを告げられるという事例も今までに存在します。これらの問題を回避するための確実性の高い手段の一つとして、各大学が履修する授業の選択の材料として学生に提供しているシラバスを見ることがあります。シラバスでは、一つ一つの授業を担当している教員やその日程だけでなく、そこで扱われるテーマの概容や使用されている教材を確認することができます。大学の中にはオンラインでシラバスを公開しているところもありますし、学生しか閲覧できない場合でもその大学に通っている人がいれば見せてもらうことができるはずなので、受験する候補がある程度絞り込めている人は自分が学びたいことについて実際に扱われているのかどうかをシラバスで確認してみるのがよいと思います。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
受験する大学や学部・学科の選び方について(15) ―帰国生大学入試についてvol. 260―
(2020年7月31日 12:45)