TOEFL iBTやIELTSを受験するための学習の進め方について(2) ―英語学習の勧めvol. 171―

(2020年7月22日 11:15)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、英語圏の高校で学んでいる人の中には、TOEFL iBTやIELTSといった英語運用能力試験を何回受験しても一定のところからスコアがなかなか伸びないという問題に直面しているケースがあるということを述べました。そのような人の間で広く見られる学習を進める際の特徴的な点は、一つ一つの教材を解いてしまった後に時間をかけて見直しなどを行わない(もしくは、その「詰めが甘い」)ということです。

何かを学ぶ際に復習を欠かさず行うべきということはあらゆる教育機関で言われることですが、日本では外国語の学習に関して「どんどん使っていれば自然と身につく」と考える人が少なくない上に、そのような人が社会の中で強い発言力を持っている現状がありますし、最近の生徒を見ていると、与えられた問題に対して誤った答えを出すことに恥ずかしさを感じる人が増えているようなので、その重要性が十分に認識されていない可能性があります。そこで、今回から、なぜ上で述べたような学習のあり方がスコアの伸び悩みという問題を引き起こしてしまうのかということを、長い間海外の高校に通っている人でもリスニングやライティング、スピーキングに比べて英語運用能力試験の成績が低いものにとどまってしまうことも多いリーディングを題材に説明したいと思います。

まずはTOEFL iBTやIELTS、TOEICといった海外の高校で学ぶ人が受験することの多い英語運用能力試験のリーディングのテストで見られる文章や問題の特徴を確認したいと思います。

受験者の英語運用能力が英語圏の大学で学ぶのに必要な水準に達しているかを確認することを目的としたTOEFL iBTのReading Sectionでは、700語程度で構成される文章が3つもしくは4つ出題され、それぞれに10個の問題が付いており、制限時間は54分から72分です。文章は、例えば自然界や社会の中で起きている問題や現象についての説明や、著名な研究者の業績の紹介というような、大学で扱われる学問の入門的な内容についてのものがほとんどですが、使われている語彙やイディオムは日常のコミュニケーションの中ではあまり使われない文語的なものが多く、取り上げられる分野が多岐に渡るため、意味や用法を習得しておかなければならない対象を幅広く設定する必要があります。

また、そこで使われる言語が何かに関係なく、学問的な文章はそこに含まれる一つ一つの文の構造が複雑になり、内容を正しく理解するには文法事項に対する一定の理解が求められるものになるという傾向があります(口頭によるコミュニケーションと異なり、紙などに書き起こされた文章は静止した状態なので、そこで何を伝えようとしているかを考える時間が確保できることも関係しているでしょう)。TOEFL iBTで出題されるものは内容の論理的な分析を必要としない基礎的な次元のものとは言え、学問的な文章であることには変わりがありません。また、このテストが実施される主な目的を踏まえると、少なくとも日本の高校生が3年になるまでに習う文法的なルールの基本的なものについて理解しておかないと内容がうまく把握できないような文が多く見られても不思議はありません。

このような文章に合わせて出題される問題には、単語の意味を答えるものの他に、一つ、もしくは複数の文の内容を正確に読み取れているかを確認する問題があり、日本の大学入試の現代文のように「行間を読む」ことが求められる難しいものは見られないものの、正答を引き出すために文章中で読まなければならない箇所が点在しています。それに加えて、文章中の重要なポイントを拾い上げてくれる問題(もしくは文章内に出てくるさまざまなものを分類する問題)もあるため、全ての文をじっくりと読むことまではないとしても、できるだけ速いスピードで文章全体に目を通し、正しく内容を理解することが高いスコアを取るには必要になります。

それでは、次回はIELTSのReadingで出題される問題がどのようなものかについて説明したいと思います。TOEFL iBTやIELTSなどの英語運用能力試験の対策についてご質問などがある場合には、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【教育相談フォーム】
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