こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、中央大学の文学部や国際経営学部の自己推薦入試の特徴をお知らせしました。国際経営学部のものは昨年から、文学部のものは今年から始まったものですし、今年度から大学入試改革が実施されており、日本の高校生でも英語運用能力試験の対策に本格的に取り組んでいる人が増えていますので、合否判定の傾向はしばらく変動するかもしれません(実際に、国際経営学部では今年志願者が増加しているようです)。インターネット上にある情報に惑わされず、英語運用能力試験や筆記試験の対策をしっかりとやっておいた方がいいでしょう。
さて、今回は青山学院大学で実施されている自己推薦入試のうち帰国生が受験することの多い、もしくはそのように想定されている2つの学部・学科のものを取り上げます。
〇文学部英米文学科の自己推薦入試
この学科は「英米文学科」という名前がついているので、アメリカやイギリスといった英語圏の文学作品の研究のみを行うところだと思う人もいるかもしれませんが、3年次から6つのコースから一つを選ぶというカリキュラムになっており、その中には英語学や英語教育学、英語によるコミュニケーション全般を学ぶ対象とするものがあります(外国語学部がない大学では「文学部英米文学科」がこのように英語に関する広い範囲のものを学習や研究の対象としているというのが一般的です)。そのため、英語の教師や通訳士を目指す人もこの入試を受験しています。
この入試では審査が2段階で行われますが、第一次審査は出願手続き時に提出した書類の内容に基づいて行われ、基本的に大学が指定する英語運用能力試験の成績が重要になります。SOLの帰国生大学受験セミナーではこの点についてTOEFL iBTであれば95、IELTSであれば7.0という水準を目指すように受験を考えている人に案内しています。一方で、第二次審査は英語と日本語の小論文や面接試験で構成されますが、英語のエッセイを書く時に基本的な単語のスペルミスを繰り返したり文法に関する初歩的な理解が欠けているのではないかという疑いを抱かせるようなミスをしたりということがなく、面接試験で志望理由とこの学科が提供するプログラムにズレがあるという印象を与えることがなければ不合格になることはありません。受験を考えている人はとにかく英語運用能力試験の成績を上げるような学習に取り組みましょう。
〇地球社会共生学部の自己推薦入試
この学部は青山学院大学の中でも比較的新しいもので、当初は国際的な問題や活動のあり方について学問的な観点から様々なことを習得できるとしてSOLのOBOGからも高い評価を受けていましたし、大学での学びや社会的な活動に積極的に取り組む「意識の高い人」が集まる場となっていたようです。ただし、最近は学問的な内容を扱う授業が減り、代わりに国内外で活動に取り組んできた人が自分の経験を共有するという形の授業が増えてきているとのことで、様々なトピックについて学術的な形で考察を深めることを期待していた人からは不満の声が出ているとの話も聞きます(中でも最も評判が悪いのが駅伝チームの監督が教授に就任し、実際に授業を担当していることです)。
昨年まで、国際政治経済学部や法学部などと同様に海外就学経験者入試も実施していたのですが、それを自己推薦入試と統合したようで、日本の高校を卒業していないのであれば「海外就学経験者」として出願することになり、海外の高校に卒業まで2学年以上在籍していることに加えて、TOEFL iBTやIELTSなど大学が指定する英語運用能力試験で一定以上のスコアを取得していることが資格を得るための条件となります。そして、こちらの入試でも書類審査と筆記試験・面接試験という2段階の審査で合否の判定が行われますが、昨年までの入試と同じ方向性で合格者が絞られ、この学部の受験生の間での人気が今後も維持されるのであれば、英語運用能力試験の成績をできるだけ高いものにした上で小論文試験に向けた対策をしっかりと行うのがよいと思います。
それでは、日本の大学の帰国生入試やAO入試の受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームからご連絡いただくか、info@schoolofliteracy.comにメールをお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
青山学院大学の自己推薦入試について ―帰国生大学入試についてvol. 276―
(2020年11月20日 12:05)