こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、オーストラリアやニュージーランド、フィジーといった南半球の国の高校に通う人が日本の大学を受験する場合、その準備について考えるべき点の一つとして、日本の大学が帰国生入試やAO入試の制度設計をする際に、5、6月に高校を卒業する北半球の国で学んでいる人を主な受験生として想定していることを挙げました。受験準備を進めるスケジュールに関して検討する際にはこのような状況を踏まえる必要があります。
南半球の国の高校に通う人の受験準備をどのように行うかということについては、考慮すべき事情が前回の記事で述べたことに加えてもう一つあります。それは、オーストラリアやニュージーランド、フィジーの高校に在籍している人の多くが、保護者の海外転勤に伴ってそれらの国に渡航したのではなく、英語運用能力の伸長などを目的に単身留学をした人だということです。そして、小学校や中学校から留学生活を送っている人もいるようですが、高校の3年間だけを海外で過ごす人が多数を占めています。
帰国生入試やAO入試で社会的評価の高い大学に入学するためには、TOEFL iBTやIELTSで高いスコアを取ることが必要だということはこれまでにも述べてきました。日常生活を送る中で習得できる表現や語彙の知識があればある程度対応できるTOEICとは違い、TOEFL iBTやIELTSは受験する人が英語圏の大学で学ぶのに足る英語運用能力をどこまで身に付けているかを判定するものです。そして、母語が英語以外の言語である人がこのようなテストでよい結果を得るためには、日常生活の中で英語を使う経験を蓄積するだけでは十分ではなく、意味が理解できる語彙の量を増やしたり、文を正しく読んだり書いたりするためのルールを理解し実際に英語を使う場面で活用できるようにしたりするという意識的な学習を継続的に行うことが不可欠になります。
英語圏の国に高校から単身留学をしている人(母語が日本語の人が圧倒的に多数です)の中には、TOEFL iBTやIELTSのスコアが順調に伸びている人がいますが、このような人の多くは海外に渡航する前の段階で上で述べたような学習習慣を身に付けていて、留学生活の中で実践できています。一方で、スコアが一定のところから伸び悩んでいたり、低い水準から抜け出すことができなかったりする人も少なからずおり、このようなケースでは意識的な学習の必要性が認識できてないという人だけでなく、どのように学習を進めるべきかがわからなかったり、新しい生活環境に適応することに時間やエネルギーを費やさなくてはならなかったために学習習慣をうまく確立できなかったりした人が見られます。
そのため、後者のケースに当てはまる人が帰国生入試やAO入試でよい結果を出すには、できるだけ早い時期に現在の英語運用能力のあり方や意識的な学習の必要性、例えば英語運用の基礎的なルールに対する理解が不十分な場合、そのようなことを問う問題が多いTOEICの学習から始めるなど、自分の英語運用能力や現在置かれている状況に合った学習の進め方を確認する必要があります。また、自分だけで学習を継続的に行う自信が持てない場合には、日常的に英語の学習に対するサポートを受けられるような環境を整えておくことも重要になるのです。
それでは、オーストラリアやニュージーランド、フィジーなど南半球の国の高校に通う人の大学受験に関してご質問などがありましたら、以下のフォームやこちらよりご連絡ください。
【教育相談フォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/consultation/form.html
南半球の国の現地の高校に通う人の大学受験について(2019年版)(2)―帰国生大学入試についてvol. 245―
(2019年11月6日 19:30)