こんにちは。SOLの余語です。
「英語学習の勧めvol. 157」と「vol. 158」では、英語の学習において最も優先度の高いものの一つである、意味が理解でき自分の考えを表現する際に自由に用いることのできる単語の数を増やすための学習について、TOEFLやTOEIC、IELTSを受験する場合の学習目標を示しました。日常生活で用いられるものが中心のTOEICに比較すると、アカデミックな内容のTOEFLやIELTSでは学習の対象となるものが多くなり、その習得のための時間も長くなることに注意してください。
さて、日本では、英単語やイディオムの学習に用いる教材が多く発行されています。それらは、TOEFLで出題されるような長文を読んで、そこに出てくる単語を覚えていくものや、単語などの意味の簡潔な説明の他に短い例文が示されているもの、1つの単語の派生語や類義語まで詳しく掲載されているものなど、それぞれの筆者が効率的だと考える学習法に従って様々な形式を採っています。実際に学習に用いるものは、本屋で立ち読みしたりAmazonで「なか身!検索」をしたりすることによって、自分に合ったものを選んでもらえればと思います(例えば、内容に興味を持てるような文章がなければなかなか読み進むことができない人には長文が付いたものが適当ですし、スピード感をもって多くの単語にふれたいという人は単語とその意味がリストのように列挙されているものがいいでしょう)が、TOEFL対策のために単語の学習を行うのであれば1点注意が必要です。
前回の記事でも述べた通り、TOEFLは英語圏外の国や地域出身の学生がアメリカの大学で学ぶために必要な英語運用能力を持っているかを見るためのテストであり、SATで見られる文章と同等の難度を持つものではないものの、歴史や法学、経済学、生物学、地学などに関連するアカデミックな内容のものが出題されます。そのため、単語の学習を行う際にも、よく取り上げられる分野で用いられる専門用語について一定程度学ぶ必要があります。そのような単語の多くは高校の授業で出てくるものでしょうが、その科目を履修していなければふれる機会がないですし、そうでない場合でも授業で多くの情報が提示される中で見逃してしまっているものもあるはずだからです。
ただし、学問的な用語の習得に乗り出すのは、特定の分野に限定されずどのような文章でも使われるような一般的な単語の中で意味が理解できるものを十分に増やしてからの方がよいと思います。その理由は、専門用語は日常生活の中でふれる機会が少ないものであることを考えると、それを習得するための試みの中で学習成果が上がったことを実感できる機会も限られてくるということにあります(ただでさえ、単語の学習は短期的にその成果が表れにくいものですので)。また、一般的なものの名称や動作、状態をあらわす単語の意味に対する理解が深まっていれば、問題となっている文章の文脈から専門用語が分からなくても、その内容の概略が把握できることもあるので、優先的に行うべきは使用頻度の高いものの学習となるということもあります。
具体的には、TOEFL対策としての単語学習は、まず『TOEFL英単語3800』や『TOEFL iBT頻出英単語1800』といった頻出語を中心とした教材に取り組み、その中で意味が理解できるものを増やしてから、専門用語を扱うものに移るようにしましょう。なお、以下で僕の知っている限りで学問に関連した語彙を習得するのによいと思われる教材を2つ紹介しておきます。
○『TOEFL TEST必須英単語5600』
この教材は、TOEFL iBTのリーディング・セクションで出題されるような、様々な学問分野に関する文章を読んで、その中にある専門用語を覚えるというものです。内容に興味を持てるようなものがないと学習意欲は持続しないと言われていますし、英語読解の練習にもなるので、よい本だと思います。
○『学問分野別 TOEFLテスト ビジュアル英単語』
こちらは、様々な学問分野のトピックについての日本語による説明とともに、専門的な英単語を紹介するものです。日本語での解説があるので各分野がどのような関心を持って世界を見ているかということの理解が深めやすいので、大学で学びたいものを見つけるのにも役立つと思います。ただし、扱っている単語の数が上のものより少ないというのが難点です。
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単語の学習について vol. 4 ―英語学習の勧めvol. 159―
(2016年7月5日 12:00)