こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、英単語に関する知識を蓄積し、自由自在に使えるようになるための学習について、TOEFLやIELTSの対策として行う際に注意すべきことをお知らせしました。これらの試験に向けた学習では、学問的な専門用語で意味を理解できるものを増やしていく必要がありますが、どのようなトピックでも使われるような基礎的なものについての学習を優先して行うべきだと思います。
さて、今回からは学習の具体的なプロセスとはどのようなものかということを考えてみたいと思います。この点については、英語の学習法に関する書籍で様々なものが提案されており、学習の目標やこれまでに積み上げた語彙量、そしてそれらをどのような形で使うことができるようになりたいのかということ(例えば、文章を読む時には理解できるか、もしくは自分の考えを表現したい時にも正しく使えるかということです)によって、多様なアプローチを適切に組み合わせて学習を進めていくべきです。ただし、最もよく用いられる3,000~4,000語を学習の対象とすべき段階(英語圏の教育制度で学んでいる場合でも、この段階にいる人が多数派だと思います)では、それらの意味や用法を習得するまで、以下の4つの基本方針の下で日本語による意味や用法の説明がある単語帳を用いて学習を行うべきでしょう。
①長い期間をかけて学習を進めていく
②毎日、コツコツとこなしていく
③1日の学習のメニューに必ず前日までの復習を組み込む
④学習の中で受ける「衝撃」を大切にする
これから、上で挙げた方針の1つ1つについて、その内容や実践する際のポイントについて説明する予定ですが、今回の記事では①の必要性に関して、日本で数多く出版されている英語教材という観点から説明したいと思います。
英語の学習について学問的に研究している学者や彼らが書いた書籍で度々批判される教材に、「中学・高校で学んだ英語を10日間でマスターできる」というような、大変短い期間で効率的に英語の文法などが身に付くことや、「聴くだけでよい」というように学習者の負担が軽いことをアピール・ポイントにしたものがあります。このような教材が前提としている、文字や文法、背景となっている文化が大きく異なる言語でも簡単に短期間で学べるという考えが「眉唾もの」の話であるということは、実際に英語の学習に取り組んだ人であれば納得してもらえるところだと思います。
そして、アマゾンなどで英単語を学ぶ教材を検索してみると、上で挙げた教材のような「効率的な学習」を謳ったものはほとんど目にすることがありません。これは、意味が理解できる語彙を蓄積していくには長い時間がかかるということが誰にとっても自明なことであり、短期間で効率的に学習が終わるということを宣伝しても教材が売れることはないということを意味しているという仮説が立てられると思います。次回の記事では、このことを2つの視点から検討してみましょう。
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単語の学習について vol. 5 ―英語学習の勧めvol. 160―
(2016年7月14日 10:00)